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CHAPTER5 決算の業務

Section 18 監査役

会社の社会的責任が重視される現代、監査役の重要性は高まっているんだ。

大会社は監査役会の設置が義務づけられている

監査役は株主総会で選任され、取締役などの職務の執行を監査するのが役目。一般に、会社の規模を問わず業務監査と会計監査の権限があるとされています。資本金が5億円以上あるいは負債額が200億円以上ある株式会社=大会社は会社法の定めにより、3人以上の監査役で構成される監査役会を設置しなくてはいけません。設置を義務づけられていない会社も、監査役を置くことで経営の健全性や適正性を担保する役割が期待できます。

監査役は取締役の職務の執行を監査する立場なので、取締役からの独立性が確保されてなくてはいけません。そのため監査役の報酬等は、定款でその額を定めていない場合、株主総会の決議で決定されます。

大会社は会計監査人も設置しなくてはいけない

株式譲渡制限会社(発行する全ての株式について譲渡が制限される会社)は定款に定めることで、「会計参与」を置いて監査役の設置を省略することができます。会計参与は取締役と共同して、計算書類等を作成します。またそのほかに、「会計監査人」の制度もあります。会計監査人は監査役とは別に、社外の独立した第三者として会社が作成した計算書類等を監査します。会社法では大会社などに会計監査人の設置を義務づけています。会計監査人は、会社と利害関係のない公認会計士または監査法人でなくてはいけません。

ポイント

  1. 監査役は、取締役などの職務の執行を監査する。
  2. 監査役は、取締役からの独立性が確保されている必要がある。
  3. 監査役とは別に、大会社などでは会計監査人の設置も義務づけられている。

監査の種類

外部監査は、監査法人など独立した第三者が行う監査。
それに対して監査役など組織内部で行う監査が内部監査。

区分 実施者 目的 効果
外部監査 公認会計士または監査法人 計算書類等の適正性に対する意見表明 計算書類等の信頼性が確保される
内部監査 監査役、内部監査室など 会社の活動がルール通りに運用されているかを確認 会社の活動の適正性が確保される

監査役の監査の範囲

監査役の業務には、会計監査と業務監査がある。

会計監査

取締役が適正な財務情報を作成及び開示しているかを監査する。

業務監査

取締役の職務遂行が法令や定款に違反していないか、著しく不当な点はないかを監査する。

監査役の任期

監査役の任期は原則4年。ただし株式譲渡制限会社は、定款に定めることで10年まで伸ばすことができる。この4年ないし10年とは、監査役選任後4年ないし10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなる。期末とは一致しない。

表「監査の種類」

会社法で会計監査人の設置が義務づけられていない会社であっても、銀行や取引先の信頼を得るため、自主的に監査法人などの監査を受けることがある。これを「任意監査」というんだ。

MEMO

監査法人など会計監査人は取引記録を監査する期中監査を経て、期末監査として財務諸表項目の監査を行う。そして最終的に決算書が適正かどうかの監査意見を提出する。

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