Section 06 貸借対照表と損益計算書のつながり
貸借対照表と損益計算書には一定の関連があり、1つの取引で双方が同時に動く場合があるんだ。
2つ決算書の相関関係を意識する
貸借対照表と損益計算書は、密接な関係でつながっています。例えば当月の売上高として50万円が口座に入金されたとしましょう。この場合、損益計算書の収益及び貸借対照表の資産がともに50万円プラスになります。また当月の売上高を得るために売上原価20万円を現金で支払った場合、損益計算書の費用が20万円プラス、貸借対照表の資産が20万円マイナスになります。
正しい分析を通じて経営課題が見えてくる
貸借対照表と損益計算書はまた、それぞれ「利益剰余金」と「当期純利益」で結びついている点が重要です。損益計算書で示される1年間の当期純利益(会社に残った最終的な利益)は、貸借対照表の純資産にある利益剰余金(「繰越利益剰余金」)として蓄積され、その中から一部が株主へ配当金として分配されます。
例えばある会社の貸借対照表で純資産が前期より伸びた場合、損益計算書を見ることでその原因が分かるようになります。仮に損益計算書の当期純利益が伸びていても「経常利益」(通常の業務で得た利益)がマイナスの場合、本業での赤字を補填するため固定資産を売るなどして「特別利益」を増やしたことなどが伺えます。そこから、純資産が増えていても事業計画を見直す必要があるといった判断ができるようになります。
ポイント
- 損益計算書の収益が増えると貸借対照表の資産が増える(または負債が減る)。
- 損益計算書の費用が増えると貸借対照表の資産が減る(または負債が増える)。
- 利益剰余金と当期純利益のつながりにも注目。
貸借対照表と損益計算書の相関関係
「当月の売上高として50万円が口座に入金された」
「当月の売上高を得るために売上原価20万円を現金で支払った」
利益剰余金と当期純利益の関係
損益計算書の当期純利益が貸借対照表の利益剰余金の繰越し分に上乗せされ、純資産が増加するんだ。
MEMO
利益剰余金とは、純資産のなかの株式資本から資本金、資本剰余金、自己株式を除いた部分を指す。一般に利益剰余金が増加すると自己資本も増えるので、安全性が高い会社と見なされる。