Section 17 取締役会と取締役会議事録
取締役会は、日々の業務執行の方針を決定する機関。上場企業は設置が義務づけられているんだ。
上場企業は取締役会の設置が義務づけられている
「取締役会」とは、会社の業務執行の意思決定を行う機関。株主総会で選ばれた取締役3人以上で構成されます。会社法では取締役会を置くかどうか原則として任意ですが、上場企業などは設置が義務づけられています。
会社の業務執行は、取締役会が決定するのが原則。法や定款に照らして適正か、会社の発展に寄与する妥当な執行かなどを監査し、不適切な場合は是正を求めます。ただし全ての業務執行を取締役会で決定するのは現実的ではないので、下に挙げた議決事項以外は取締役に委任することが可能です。
過半数の取締役が出席した取締役会で決議を行う
取締役会の決議は、取締役の過半数が出席した上で、その過半数によって行います。例えば取締役が3人なら、2人以上が出席しなくては決議できません。また決議事項に対して特別に利害関係がある取締役は除外されます。
開催の時期について特に定めはありませんが、3カ月に1度=年4回以上は開催しなくてはいけないことが会社法で定められています。また取締役会を開催したら取締役会議事録を作成しなくてはいけません。議事録の作成は議長が行うことが多く、書面で作成した場合、出席した取締役は署名または記名押印します。会社法では、取締役会の日から10年間、書面もしくは電磁的記録により議事録を本店に備え置く必要があると定めています。
ポイント
- 上場企業などは、取締役会の設置が義務づけられている。
- 取締役会の決議は、取締役の過半数が出席した上で行われる。
- 取締役会を開催したら、取締役会議事録の作成が必要。
取締役会の議決事項
- 重要な財産の処分及び譲受け
- 多額の借財
- 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
- 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
- 社債を引受けるものの募集に関する重要な事項として会社法施行規則で定める事項
- 取締役の職務の執行が法令と定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして会社法施行規則で定める体制の整備
- 定款の定めに基づく取締役や監査役などの責任の免除
- その他重要な業務の執行
議事録の記載事項
会社法施行規則第101条で以下のように規定されている。
1 取締役会が開催された日時及び場所(当該場所にいない取締役などが出席をした場合、その出席の方法を含む)
2 特別取締役による取締役会である場合、その旨
3 取締役会が特別の招集に該当する場合、その旨
4 取締役会の議事の経過の要領及びその結果
5 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役がある場合、その氏名
6 取締役以外が発言できる場合などにより取締役会において述べられた意見または発言がある場合、その内容の概要
7 取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人または株主の氏名または名称
8 取締役会の議長がいる場合、その氏名
会社法施行規則第101条
監査役を置いている場合、その監査役は取締役会に出席し、議事録に署名または記名押印しなくてはいけないんだ。
MEMO
取締役会を設置している株式会社は、原則として取締役会の業務を監視する監査役も置かなくてはいけない。ただし監査等委員会設置会社と指名委員会等設置会社は監査役を置くことはできない。