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CHAPTER2 日常の経理業務と関連業務

Section 21 棚卸資産―管理の流れ

会社は期末ごとに在庫の棚卸を行い、売上原価や棚卸資産の額を確定させる必要があるんだ。

棚卸資産は流動資産に計上する

「棚卸資産」は、会社が販売を目的として一時的に保有する商品や原材料、仕掛品などの総称。一般にいう在庫に相当します。商品や原材料などは、当期に売れた分を「売上原価」として費用に計上する決まり。期末時点でまだ売れていない棚卸資産は、貸借対照表の資産の部の「流動資産」に計上されます。

当期に売上げた分を計算するには、まず前期から繰越した分と当期に仕入れた分を合計し、そこから「期末在庫」(当期末に残って来期に繰越す分)を差し引きます。この期末在庫を確認する業務を、「棚卸」といいます。棚卸は、決算にあたって売上原価や棚卸資産の額を確定させる重要な業務です。

在庫の数量は実物を種類別にチェックして数える

在庫の数量は、期末の時点で実際に倉庫などで実物を種類別にチェックしながら数えるのが一般的です。これを「実地棚卸」といいます。種類や数が多い場合はあらかじめ倉庫を整理して、「棚札」を在庫に貼りつけてカウントするなどの工夫が欠かせません。

在庫の取得原価を求める上で、さまざまな評価方法があります。会社は自社の実態に合った方法を任意に選んでかまいません。選択した評価方法は、所轄の税務署に届け出る必要があります。もし届け出なかった場合は、法定評価方法の「最終仕入原価法」が適用されます。

ポイント

  1. 商品や原材料などは、当期に売れた分を売上原価として計上。
  2. まだ売れていない棚卸資産は期末に流動資産に計上。
  3. 在庫の取得原価の評価方法は税務署に届け出る。

棚卸資産と利益の関係

図「棚卸資産と利益の関係」

売上原価 = 前期繰越分 + 当期仕入分 - 期末在庫

最終仕入原価法のイメージ

最終仕入原価法のイメージ

そのほかの主な棚卸資産の評価方法

個別法 仕入時の価格で評価する方法。多くの品種を扱っている場合は手間がかかる。自動車や貴金属など、単価が比較的高価で個別の在庫管理が可能な棚卸資産に適している。
先入先出法 最初に仕入れた在庫から順番に販売している(製造に使われている)=棚卸資産として残っているのは最新の在庫という考え方に基づいた評価方法。
平均原価法 棚卸資産の原価を平均して期末時点での評価額とする方法。「移動平均法」と「総平均法」がある。
売価還元法 異なる在庫を適当なグループに分類し、それぞれのグループに属している棚卸資産の売価合計額に原価率をかけて、期末棚卸資産価額を求める。

MEMO

棚卸資産の評価方法は原則として継続適用となるため、その評価方法を採用してから3年以上経過していない場合、事業の合併を行ったなど、相当の理由がなければ変更が認められない。

経理の仕事の流れとしくみがまるごとわかる
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