Section 02 法人3税の扱い
税務の基本となる法人3税のあらましを確認しておこう。
法人3税は会社の所得に課される
企業会計で費用として計上される租税公課とは別に、会社の利益(=所得)に対して課される税金があります。それが法人3税と呼ばれる「法人税」「法人住民税」「法人事業税」の3つ。これらは原則として、「法人税、住民税及び事業税」の勘定科目で処理します。
法人税は、国に納める国税。事業年度ごとの所得に課されます。課税所得は、企業会計にしたがって算出した利益を「税務調整」という処理により加減算して確定させます。法人住民税は、法人の事業所がある地方自治体に納める地方税。道府県民税と市町村民税の2つからなります。それぞれ「法人税割」「均等割」という2種類の方法で課税されます。
法人事業税は項目によって処理が異なる
法人事業税は、法人住民税と同じく地方税ですが、法人税、住民税と異なり、損金に算入することが認められています。法人事業税はまた、ほかの2つと扱いが異なる点に注意しなくてはいけません。法人事業税を構成するのは、①所得割、②付加価値割、③資本割、そして④「特別法人事業税」の4つ。このうち①と④は所得に課税されるため法人税、住民税及び事業税で処理します。②と③は資本金1億円超の会社に課される「外形標準課税」と呼ばれる税金で、資本金や人件費などに課税されるため、租税公課などで処理します。
ポイント
- 法人3税は「法人税、住民税及び事業税」の勘定科目で処理する。
- 法人税は国税、法人住民税・法人事業税は地方税。
- 法人事業税は、損金に算入することが可能。
法人税と税務調整の仕組み
出典:財務省ウェブサイト「もっと知りたい 税のこと」
課税所得は「益金」の額から「損金」の額を差し引いて求める。益金は法人税法上の用語であり、企業会計の「収益」にほぼ等しい。損金は同じく「費用」に相当する。算出した課税所得に法人税率をかけた後、各種の税額控除を差し引いて法人税額が確定するんだ。
法人税の税率
国に納める法人税は、会社の資本金の額などによって税額が定められている。
区分 | 適用税率 | ||
---|---|---|---|
資本金1億円以下の法人など | 年800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% |
適用除外事業者 | 19% | ||
年800万円超の部分 | 23.20% | ||
上記以外の会社 | 23.20% |
● 適用除外事業者とは、過去一定期間の平均所得金額が15億円超の会社を指す。
出典:金融庁ウェブサイト「法人税の税率」
MEMO
「外形標準課税」は所得が少ない、あるいは赤字の会社であっても一定額は納税することになるため、地方財源の安定化につながっている。
法人住民税の仕組み
法人住民税は、会社の事業所がある自治体が課税する地方税。資本金等の額や従業者数に応じて定額が課される均等割、法人税額に応じて課される法人税割の2つからなる。
出典:総務省ウェブサイト「地方税制度|法人住民税・法人事業税」
法人税はすごく簡単にいうと、儲かった利益にかかる税金です。消費税は取引にかかる税金なので、利益がなくても預かった分は払わなくてはいけないのです。
法人事業税の構成
区分 | 課税方式 | |
---|---|---|
事業税 | 付加価値割 | 付加価値や資本金等の額に対して課税(外形標準課税) |
資本割 | ||
所得割 | 所得に課税 | |
特別法人事業税 |
法人事業税の仕組み
法人事業税は、法人が行う事業そのものに対して課される。法人が事業活動を行うにあたって地方自治体の行政サービスを利用することから、その経費を分担すべきという考えに基づいている。
- 資本金1億円超の会社は、付加価値額に応じた付加価値割、資本金などの額に応じた資本割、所得に応じた所得割が課される。資本金1億円以下の会社は、所得割のみが課される(特別法人事業税を除く)。
- なお法人事業税の制限税率(税率の上限)は、標準税率(上記図の税率)の1.2倍。また資本金1億円超の会社の所得割は、標準税率の1.7倍が制限税率となる。
- 電気供給業・ガス供給業・保険業を営む会社は、上記とはまた異なる税率が適用される。
出典:総務省ウェブサイト「地方税制度|法人住民税・法人事業税」