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CHAPTER6 ステップアップ

Section 01 純資産の部の構成

純資産の部を構成するさまざまな項目について知っておこう。

純資産の部は会社が本来持っている資金力、資本力を示す

貸借対照表の「純資産の部」は、大きく分けて「株主資本」と「株主資本以外」の2つになります。後者はさらに「評価・換算差額等」「新株予約権」に分かれます。

このうち純資産の部の中心を占めるのは、「株主の持ち分」を意味する株主資本。これは株主が出資した事業の元手と過去から蓄積された利益のうち、内部留保されているものが計上される項目。会社が本来持っている資金力、資本力を示す重要な部分です。株主資本はさらに「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」「自己株式」に分類されています。純資産を見る時はその総額ではなく、これらの各項目に区分して分析することが重要です。

総資産などに基づく経営指標から多様な分析が可能に

貸借対照表の純資産の部と負債の部を合計した額が、「総資本」。総資本は「資産の部」の合計=「総資産」と一致します。これらに基づく経営指標により、会社の安全性や収益性の分析が可能です。例えば総資産に占める株主資本=自己資本の比率が、「自己資本比率」。また自己資本に占める当期純利益の比率を「自己資本利益率」(ROE: Return on Equity)、総資産に占める当期純利益の比率を「総資産利益率」(ROA: Return on Assets)といいます(下記図「自己資本比率 / 自己資本利益率 / 総資産利益率の計算」参照)。

ポイント

  1. 純資産の部は、株主資本と株主資本以外に大別される。
  2. 純資産は、その総額ではなく、各項目に区分して分析することが重要。
  3. 総資産、自己資本、当期純利益などから、経営指標を割り出せる。

貸借対照表の純資産の部

表「貸借対照表の純資産の部」

総資産に占める純資産の合計がある程度大きければ、安全度が高い会社といえる。
負債の合計額が総資産を上回っていて純資産の合計がマイナスの状態を、債務超過という。会社の危険度が非常に高い。

利益剰余金は株主総会での決議を経て、社内留保または配当といった処分が決定されるんだ。

純資産の部の内訳

資本金 会社設立時、また増資の際の株式発行などで株主から集めた資金などのうち、会社が資本金とした部分。株主からお金を集めた過去の実績であり、資本金が大きい=安定している会社とは限らない点に注意。
資本剰余金 会社設立時、また増資の際の株式発行などで株主から集めた資金などのうち、会社が資本金としなかった部分。
利益剰余金 会社設立から現在までの儲けのうち、税金や配当などで支出されず会社内に残っている利益。剰余金を分配する時のための留保部分。株式発行などによる資本取引と事業運営などによる損益取引を区別するため、別項目として明示される。
自己株式 会社が買い取った自社株式。株式の発行数を減らすのと同じ意味があるため、株主資本のマイナス項目として表示される。

純資産の部の勘定は、多くが株主総会の決議などでしか金額を動かせないといった制約が多いことにも留意しておこう。

自己資本比率 / 自己資本利益率 / 総資産利益率の計算

自己資本比率

自己資本比率(%)=自己資本 ÷ 総資産×100(%)

自己資本利益率(ROE)

自己資本利益率(%)=当期純利益 ÷ 自己資本×100(%)

総資産利益率(ROA)

総資産利益率(%)=当期純利益 ÷ 総資産×100(%)

MEMO

純資産の部の変動内容を説明するのが、株主資本等変動計算書(CHAPTER5 Section02-3「作成する書類―そのほかの決算書類」参照)。利益や配当による利益剰余金の増減、その他有価証券の時価の変動によるその他有価証券評価差額金の増減などが示される。

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