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CHAPTER5 決算の業務

Section 13 上場企業の情報開示制度

法律などの定めにしたがって上場企業などは社外に情報公開しなくてはいけないんだ。

上場企業は金融商品取引法などに基づいて情報公開を行う

証券取引所で株式を公開する上場企業は、投資家の判断材料となる情報を公平に提供しなくてはいけません。そのため会社法、金融商品取引法、また証券取引所が定める規則で、適正な情報開示のルールが定められています。

情報公開の代表的な例が、金融商品取引法によって作成が義務づけられている「有価証券報告書」。通称「有報」と呼ばれます。有報は、事業年度末=第4四半期末に作成。財務情報に加え、大株主や設備の状況、役員報酬などまで詳細な情報が盛り込まれています。

有報を簡略化し、四半期ごとにまとめるのが「四半期報告書」(第1、第2、第3四半期末にそれぞれ作成)。さらに四半期報告書よりも早く開示される決算速報として「決算短信」があります。決算短信は証券取引所が定めているルールに基づいて、四半期ごとの業績状況を開示します。

各種報告書の作成には各部門が連携してあたる

2006年からは、企業統治の状況について報告する「コーポレート・ガバナンス報告書」の開示制度がスタート。また有報の虚偽記載といった不祥事が相次いだことなどを背景に、2008年から「内部統制報告書」の提出も義務づけられています。こうした報告書や決算短信の内容は多岐にわたり、社内の複数の部署が連携して作成することが必須。誰がいつまでに何をするかといった分担やスケジュールを事前によく確認しておくことが欠かせません。

ポイント

  1. 投資家に公平な情報を提供するための情報開示制度が設けられている。
  2. 金融商品取引法で有価証券報告書の作成が義務づけられている。
  3. 上場企業はコーポレート・ガバナンス報告書の作成も必要。

日本の情報開示制度

株式を公開している会社は、各法律でさまざまな情報開示を義務づけられている。

図「日本の情報開示制度」

出典:経済産業省ウェブサイト「経済産業政策局 企業会計室『企業情報開示等をめぐる国際動向』」

決算短信 四半期末後遅くとも45日以内に財務諸表などを開示する。
有価証券報告書 業績、資産に加えて役員報酬、大株主の状況なども合わせて開示する。
コーポレート・ガバナンス報告書 企業統治について社外取締役、顧問・相談役の状況なども含めて開示する。
内部統制報告書 内部統制の有効性を評価した結果を開示する。

適時開示制度

上場企業は証券取引所の規程に基づいて、公正な株価の形成・投資者保護を目的とした情報開示を義務づけられている。これを金融商品取引法に基づく「法定開示制度」に対して証券取引所の「適時開示制度」という。

広範な情報開示制度は会社にとっての負担が重く、決算短信が2017年から簡略化されるなど、制度の見直しも行われているんだ。

MEMO

有価証券報告書は一般に開示されており、EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)などで閲覧することができる。

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