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CHAPTER5 決算の業務

Section 01 決算の主な流れをつかもう

日頃から年次決算を念頭に置いた業務を心がけることも大切だ。

決算の概要

[作業]残高確認、減価償却、経過勘定の処理、引当金の計上など
[作成する書類]貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計画書、個別注記表、事業報告、附属明細書など
[確認する書類]残高証明書、固定資産台帳、請求書など

決算(年次決算)のスケジュール

①決算準備

税理士との打ち合わせ、決算作業のスケジューリングなど

期末前1カ月間

②期末日の作業

商品などの実地棚卸、切手・収入印紙などの未使用分の確認など

期末日当日
CAHPTER5 Section04「さまざまな残高の確認」

③決算作業

残高の確認、減価償却など決算処理を行い、決算書を作成する

期末日後4週間くらい
CAHPTER5 Section02「作成する書類―法律と企業会計原則」

④株主総会準備

監査役の監査、取締役会の承認、株主総会招集通知の発送などを行う

定款で定めた日まで
CAHPTER5 Section16「定時株主総会」

⑤株主総会の開催

事業報告と各種決議を行い、株主総会議事録を作成する

株主総会日
CAHPTER5 Section16「定時株主総会」

⑥申告書の提出・納付

株主総会で決算書が承認された後、申告書を提出して税金の納付を行う

期末日後2カ月以内
CAHPTER5 Section11「法人税申告書と消費税申告書」

会社は、事業年度ごとの業績を書類にまとめる作業=「決算(年次決算)」を毎年実施します。決算にあたって作成する書類が「決算書」で、さまざまな種類があります。

会社法においては「計算書類」とその「附属明細書」、そして「事業報告」とその附属明細書の作成が義務づけられています。なお「計算書類」は「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」で構成されています。

作成した「計算書類」などについては、監査役による監査、および取締役会の承認を経た上で、毎年開催する定時株主総会による承認の決議を受け、それから法人税などの税金の申告と納税を行います。

決算書を作成するためには単に日々の取引記録を集計するだけでなく、減価償却や引当金の計上など決算に特有の処理を正しく行う必要があります。決算書は、株主、国、金融機関、取引先など社外の利害関係者に、会社の財政状態と経営成績を報告するのが目的。そのため「企業会計原則」という公的なルールに則って作成します。通常の場合、決算は一連の作業を期末日後2カ月以内に行うため、事前の綿密なスケジューリングも欠かせません。

MEMO

株主総会の開催にあたって、株主に対して招集通知を発送しなければならない。期限は会社法上の「公開会社」では2週間前まで。

会社法などにおける規定

会社に作成が義務づけられている「計算書類」などについては、会社法および会社計算規則において以下のように規定されている。

会社法 435条2項
株式会社は、法務省令で定めるところにより、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。

会社計算規則 第59条 第1項
法第四百三十五条第二項に規定する法務省令で定めるものは、この編の規定に従い作成される株主資本等変動計算書及び個別注記表とする

MEMO

決算日は、自社の繁忙期や会社設立日、関連会社との関係で自由に設定できる。ただし日本の上場企業など大企業は、公官庁や自治体の予算編成期間に合わせて、3月31日を決算日としている例が多い。

決算に必要な書類

総勘定元帳 会社の全ての取引を勘定科目ごとに記録していく帳簿。全ての会社で作成が義務づけられている。
決算書 「会社法」「金融商品取引法」「法人税法」などによって、「貸借対照表」や「損益計算書」などの作成が義務づけられている。
法人事業概況説明書 法人名、納税地、事業内容、期末従業員数の状況などを記載した書類。確定申告書に添付して提出する。税務署が法人の業務・業況などを毎年把握するために用いられる。
税務代理権限証書 納税者に代わって税理士が申告書を作成する場合に税務署に提出する書類。税理士が作成する。
法人税申告書 法人税と地方法人税を合わせて申告する。別表一から別表二十までの書類がある(令和4年現在)。
消費税申告書 消費税と地方消費税の申告にあたって作成する書類。「一般用」と「簡易課税用」の2種類がある。
地方税申告書 法人事業税と法人住民税の申告にあたり、都道府県・市町村に提出する書類。複数の地域にまたがって事業を営んでいる場合、それぞれ別個に作成する。

これらの書類の作成を会計事務所に依頼する会社も多いのだ。

決算書の種類

貸借対照表 決算日における会社の財政状態(資産・負債・純資産)を示す書類(CHAPTER2 Section05-2「基本の財務2表―貸借対照表」参照)。
損益計算書 一会計期間を通じて、その会社がどれだけの利益を上げた / どれだけの損失が生じたかを示す書類(CHAPTER2 Section05-1「基本の財務2表―損益計算書」参照)。
勘定科目内訳明細書 主な勘定科目ごとに、それぞれの相手先、内容、取引金額などを記載する書類。勘定科目ごとの詳細を示す書類であり、日頃のしっかりした帳簿管理が求められる。
株主資本等変動計算書 一会計期間における貸借対照表の純資産の部の変動額のなかで、主として株主に帰属する株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成する書類。
個別注記表 重要な会計方針・貸借対照表・損益計算書に関する注記などを一覧にして示す書類。
事業報告 株式会社の適正な業務を確保するための体制、株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針などが記載された書類。
附属明細書 計算書類を補足する重要な事項を示す書類。固定資産、引当金、販売費及び一般管理費の明細などが記載される。それとは別に事業報告の附属明細書もある。
キャッシュフロー計算書 会社の資金の増減とその理由を示す書類(CHAPTER5 Section02-1「作成する書類―キャッシュフロー計算書の基本」参照)。

「決算書」といっても、けっこう種類はあるのです。

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