Section 05 経理と財務の役割の違い
さまざまな視点から分類できる経理の組織は、それぞれ独立の部署が設けられることも多いんだ。
経理の業務は3つの「会計」に分けられる
経理は「お金やモノのやり取りや出入りを記録すること」が主な業務です。その記録については「会計」の制度・方法に基づいて行われます。会計はまた、「財務会計」「管理会計」「税務会計」の3つに分けることができます。
- 財務会計
- 営業活動の結果を損益計算書や貸借対照表などの財務諸表に集約し、ステークホルダー(利害関係者)に開示することを目的とした会計
- 管理会計
- 会社が経営方針を決定するための材料として、経営状況を独自のルールにしたがって資料にまとめるための会計
- 税務会計
- 法人税などの計算や申告書を作成する会計
「財務」は資金調達、投資やM&Aなどを行う
会計に対して「財務」とは、会社経営に必要なお金についての計画を立て、資金を管理すること。融資について銀行と交渉するなどの資金調達、投資やM&Aといった資産運用などが、主な業務の例です。経理がすでに使ったお金を通じて会社の現状を把握する業務だとすれば、財務はその現状をふまえながらこれから使うお金を調達・運用する業務ともいえます。
大きな会社では、経理と財務を別の部署としていることも一般的。また予算を管理する部門として「経営企画」が経理部門内に課としてあることもあれば、部門として別に置かれることもあります。
ポイント
- 会計は財務会計、管理会計、税務会計の3つに分けられる。
- 財務はこれから使うお金を調達・運用する。
- 大きな会社では、経理と財務を別の部署としている。
財務会計、管理会計、税務会計の違い
財務会計
目的:会社の利益や財産を算出
ルール:会計基準
対象者:ステークホルダー
管理会計
目的:経営に必要な情報を提供
ルール:会社の任意
対象者:経営者
税務会計
目的:税額を計算して申告
ルール:税法
対象者:税務署
目的や対象によってルールが異なるわけです。
経理業務の組織構成の例
Section01-1「経理の役割—仕事の全体像」で見た経理の3つの役割(①計数管理、②資金管理、③経営管理)は、大きな会社では以下のようにそれぞれが部署として独立していることもある。
財務部門は一般的に経理より難易度が高い業務とされる。経理→財務へのキャリアップも一般的。