グループ企業の決算を束ねる精鋭集団

ソフトバンク株式会社は、ソフトバンクグループの純粋持株会社だ。同グループは現在、「移動通信事業」、「スプリント事業」、「固定通信事業」、「インターネット事業」を軸に幅広く事業を展開している。
「スプリント事業」は、2013年に同社が買収し話題となった携帯通信全米3位のスプリントに関連する事業である。
このほかにも世界各地にグループ企業があり、拠点は世界に広がっている。

子会社数は756社、関連会社は105社、連結ベースの従業員数は70,336人に達する巨大企業グループだ（いずれも14年3月末現在）。
このソフトバンクの経理部連結決算グループに所属するのが、村辻良敬氏である。連結決算グループはその名のとおり、グループ企業の連結決算を担当している。

「当社の経理部のうち約半数が連結決算グループになります。四半期ごとに各社の数字をまとめ、連結財務諸表を作成します。
当社グループの決算期は3月のため、年度決算の場合、5月上旬に決算発表を行い、6月には有価証券報告書を作成します。同じ6月には定時株主総会があります。
開示資料を作成し終わると、すぐに次の四半期決算の準備に取りかかるといった感じです」。

連結決算専任は十数人。一見多いように思えるが、これだけの人数で850社以上のグループ企業の数字を取りまとめるとなると、むしろ少数精鋭といえる。

刺激のある職場を求めて異業種から転職

村辻氏は00年大学の経済学部を卒業後、総合重機企業に入社。経理部門に配属され、約5年間、実務を経験した後、05年にソフトバンクへ転職した。

「当社グループは当時からM&Aや新規事業への投資などを積極的に行っていましたから、入社すれば新しく刺激のあることにチャレンジできるのではないかと感じました」と、その動機を振り返る。

入社してすぐに思いは実現する。折しもその前年末、ソフトバンクは福岡ダイエーホークスの買収を発表したばかりだった。
村辻氏はソフトバンクホークスのマーケティング会社の経理部門に出向し、約2年間、その立ち上げに携わる。球団の運営というそれまでとはかけ離れた業界での仕事に刺激を受けつつ、経理業務の勘所を磨いていく。

07年に本社に戻って以降も、同社特有の業務にやりがいのある日々が続く。
「特に最近では投資案件が増えており、当部は経営の意志決定を経理面からサポートしています。毎日が新しい仕事の連続で、今でも飽きることがありません」と話す。
村辻氏は「経理というと数字ばかりを見つめているようですが、実際は人と人のつながりが重要です」と語る。連結決算は、依頼したデータや書類が正確かつタイムリーに各社からそろわないと成立しない。時差はもちろん、文化も異なる相手への依頼は行き違いもある。そのため顔を突き合わせて直接話すことの重要さを痛感しているという。国をまたぐ巨大企業グループの経理ならではの一面だ。

同社グループは北米、欧州、インド、中国など、海外市場への投資をますます加速させている。

「当社には、意欲ある社員に仕事を任せてくれる社風があります。前例のないことに取り組むことは楽ではありませんが、それだけの手応えがあります。これからも、さらに大きな仕事に挑戦していきたいと考えています」と意欲を見せる。

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