2014年11月25日
M&Aには、企業の選定、デューデリジェンス、スキーム策定、クロージングなど、様々なプロセスがあります。 FA(ファイナンシャル・アドバイザリー)は、企業にこれらの過程を総合的に助言し、進行する業務です。当然、会計士が実務面で大きな役割を果たしています。
M&Aには株式取得、株式移転、株式交換など、株式を取得することで経営権を握る手法、合併や事業譲渡等、事業を取得する手法があります。
FAには、企業ニーズをもとに最適なM&Aスキームを策定していくことが求められます。
その後、契約交渉の支援、契約実務のサポート等、成約までのプロセスの管理を行い、成約後「ポストディール」のサポートまで行うこともあります。
FAは大きく分けて2種類があります。売り手、買い手の間に立ち、実務のサポートをする仲介型と、当事者のうちどちらかの会社から依頼を受け、
スムーズ、かつ有利に交渉を進めるためのアドバイスをする助言型です。
仲介型と助言型では、FAの立ち位置は異なります。しかし、共通するのは、客観的なデータを経営者に提示する必要があること。
依頼企業にとって有利な交渉をすすめる助言型であっても、M&Aには相手企業の意向があります。双方にとって「WIN-WIN」の価値を提供しなくてはなりません。
重要な意思決定は経営者が行うのは当然として、M&Aを成約につなげるためには、ある程度の裁量で外部の専門家に実務を任せることも必要です。
FAの信頼性により、交渉の進展が大きく左右されることになります。ここに会計の専門家である会計士の力を発揮することができます。
成約による報酬を目的に、クロージングを急ぐような態度では、双方からの信頼を失います。
FAには、各スキームのM&Aに伴う財務会計・税務・法律など幅広い知識と能力を必要とするだけではなく、売買双方の経営者、顧問弁護士、CFO等から要望を聞き取った上で、
合意事項を適宜まとめるファシリテーション能力の高さが求められるのです。
現在、金融機関、監査法人、弁護士事務所、コンサルティングファーム等の事業会社がFA業務を担っています。
そして、いずれの機関が提供する業務も、交渉や契約実務に強い弁護士とともに、DD、会計、税務の専門家である公認会計士は最重要の実務家となっています。
一般に「M&A業務を行う会計士の報酬は高い」といわれるのは、専門的知識の必要性もさることながら、汎用的な会計知識にとどまらない個人的な資質によるところが大きいため。
M&Aが増加傾向にあるなか、FAのプレーヤーとしての実力を認められれば、キャリアの可能性は大きく広がることになるのではないでしょうか。