2014年7月15日
企業の競争力強化や成長戦略の選択肢として、近年M&Aが注目を集めており、M&Aには、短期間での経営資源の確保や法的手続の簡素化、
税制面での優遇等のメリットがあることはご存知かと思います。(別のコラム「企業を評価する」とは!? を参照ください)。
M&Aにおける公認会計士の役割は、財務デュー・ディリジェンスと企業価値評価の実施が一般的ですが、
今回は、主な企業価値評価の手法をご紹介しましょう。
企業価値評価の手法における、代表的なものとして下記の3つが挙げられます。
インカム・アプローチ
評価対象となる企業が将来生み出すキャッシュ・フローに着目する手法であり、DCF法や収益還元法などが挙げられます。
DCF法とは、企業が将来獲得するフリー・キャッシュ・フローを基礎として評価する方法です。
また、収益還元法とは、企業の会計上の予想利益を基礎として評価する方法です。
コスト・アプローチ
評価対象となる企業が保有する資産や負債の価値に着目する手法であり、簿価純資産法や時価純資産法が挙げられます。
これらは、企業価値の評価において、文字どおり貸借対照表の純資産の簿価、あるいは時価を基礎とする方法です。
マーケット・アプローチ
評価対象となる企業の株価、業界、同業他社等を基準とする手法であり、市場株価法や類似企業比較法などが挙げられます。
市場株価法とは、評価対象となる企業の市場株価を参照、分析することにより評価する方法です。
また、類似企業比較法とは、規模や事業内容等が、評価対象企業と類似する企業の株価を基に評価する方法です。
いずれの方法も株価情報が必要であり、市場株価法は評価対象企業が上場企業であること、類似企業比較法は選定した類似企業が上場企業であることが必要です。
紹介した評価方法にはさまざまなメリット・デメリットがあり、通常は複数の手法を組み合わせて評価を実施します。
さらに、評価結果は複数の手法から算出された単純平均ではなく、評価対象企業により適合する評価方法を重視するケースもあります
(例えば、DCF法、時価純資産法、類似企業比較法を採用し、それぞれの方法から得られた評価結果の50%、25%、25%を採用するなど)。
評価方法に関するメリット・デメリットの詳細については、また別の機会にご説明することにしましょう。
公認会計士 高橋和則