- 公認会計士 20代
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profile 28歳、男性。大手監査法人勤務の公認会計士。一般事業会社への転職を検討し始めたところ。
- Q
- 先日、「転職で失敗をしたくない」という件の
質問をさせていただいた28歳、大手監査法人で働く公認会計士の男性です。
会計士が転職に失敗したと感じるパターンとして、
①「専門性を活かせなかった」と②「職場の人間関係で苦労した」という2つのケースが多いという
ご回答をいただき大変参考になりました。
①のケースについて、話せる範囲でよいので参考までに一つの典型例をお話いただけますでしょうか。
だいたい、いくつぐらいの年齢の人で、何歳で会計士の資格を取り、どのくらいの規模の監査法人に入り、
どういった企業や業種の監査をしていたのか。
またその人が、どういった理由で転職をしたいと思い、その結果としてどのような企業に入社したのか。
また、その企業で一番専門性が合わなかったと本人が感じたポイントはどこだったのか(企業が
その会計士に求めた業務やスキルと本人がやりたかったことのギャップなど)。
その後、その人は何年後くらいにどのような企業に再度転職をしたのか、など。
会計士の先輩が悩んだり感じたりしたことは、自分も同じ道を通る可能性もあるので、
あらかじめ知っておきたいです。
- A
- あらためてのご質問ありがとうございます。特定の人物についての例を申し上げるのではなく、あくまでも典型例としてお話しさせていただきます。
そもそも会計士試験に合格するタイミングが在学中~大学卒業後2年程度以内となる方が多く、その大半が大手監査法人に入所し、修了考査合格後~インチャージとして数年経験したぐらいのタイミングで最初の転職に踏み切るケースが多いと思います。
以上を踏まえ、20代後半から30代前半の方が事例としては一番多くなります。転職の理由については多い順に、下記のものが上位を占めます。
①監査以外の業務を希望②クライアントへの貢献を実感できない③ワークライフバランスを整えたい④昇給・昇格に不安(不満)⑤職場の人間関係の不満や人的魅力の乏しさ
②の方はあまり事業会社を選択せず、他のコンサルなどファーム系を希望されると思いますので割愛します。
③④⑤あたりは何となく事業会社に転職することで改善されるイメージを持っている方が多いように感じますが、全くそのようなことはありません。事業会社系でもファーム系でも企業によります。ただ、事前に描いたイメージとのギャップが大きいほど、実際に転職した後に「これなら事業会社に転職する必要はなく監査法人にいればよかった」と感じてしまう方が多いのだと思います。
これを防ぐには徹底的に入社前に条件の確認を行うべきだと思います。①の場合は明確に希望したい業務がある方もいらっしゃいますが、監査を通じて一番接する機会が多く理解の深い「事業会社の経理」を選択される方が多くいらっしゃいます。
何が何でも経理をやりたいと思っている方は実は少ないのではないかと思いますが、こういった消去法に近い選択の仕方をすること自体が早期のミスマッチ(転職失敗)に繋がる一因ではないかと思います。
監査法人の視点で見えている経理の方の仕事は、常に監査法人とやり取りをしている経理の方ですが、見えていないところでは宴会の幹事をしたり、強面の営業課長に納品前に売上を計上してくれと凄まれ対応に苦慮していたり、役員全員分の会議資料をコピーしていたり、難関資格に合格するほどの知識は不要なものばかりです。
むしろそういった業務の割合の方が多い企業もあるかもしれません。程度の差はあっても、事業会社で働くということは、そういった業務が一定割合発生するということを理解し、会計士だから必ず高度な会計業務ばかりを期待されているとは限らないことも頭に入れることが大切です。
入社後に何を期待されているのかをしっかりイメージできるまで、面接などの機会に確認することがミスマッチ(転職失敗)を防ぐことに繋がります。