2014年6月12日
企業は様々なビジネス・リスクにさらされていますが、リスクテークなくして利益はないと考えられます。
現代の企業は、グローバル化、市場開放、急激な技術革新などへの早急な対応が必要になり、直面するビジネス・リスクはかなり広範囲なものとなっています。
具体的には、天災、盗難、市場競争の激化、為替や資源相場の変動といった組織を取り巻く外部的要因と、
情報システムの故障・不具合、会計処理の誤謬・不正行為の発生、個人情報及び高度な経営判断に関わる情報の流失又は漏洩といった、
組織の中で生ずる内部的要因など、数多くのものが挙げられます。
しかし、その場しのぎの対応に焦点が当てられ、場当たり的で組織内の数名の取締役や部長等の責任としてとらえられていた従来のリスク管理では、
この激動の時代を乗り切ることが困難になっています。
現代の企業は、組織的・体系的にリスクマネジメントを行うことが求められています。
認識した様々なビジネス・リスクを「発生する可能性」と「発生した場合の影響の重要度」で評価し、発生可能性が高く影響度の大きいものほどリスクが高いと判断します。
そして、リスク・プライオリティの高いものから、内部統制を整備・運用しリスクを軽減することで、企業はリスクテークしながら効率的に収益を上げていくことが可能になるのです。
内部統制という用語には、チェックをされて管理される、制圧される、という企業活動にとってマイナスのイメージもあります。
しかし、それは内部統制の一面でしかありません。その語源はインターナル・コントロールであり、経営者が自分の思いどおりに会社をコントロールするための手段です。
勿論、それは健全に、しかも効率的に会社をコントロールするという意味です。
このように、「リスクマネジメントと一体となって機能する内部統制」を構築することは、現代の企業にとって喫緊の課題となっています。
しかし、この分野に関する専門的な知識を持った人材を社内で育てることは、時間的な制約を考慮すると非常に難しい状況です。
一方、公認会計士は、会社に有効な内部統制が整備・運用されていることを前提にリスク・アプローチに基づく監査を実施しています。
監査法人において会計監査や内部統制監査等の経験のある公認会計士には、そこで得た知識、経験を生かして、内部統制コンサルタントとして活躍することが期待されています。
公認会計士 南成人