2014年6月16日
内部統制報告制度が導入され早や7年度目に入りました。
上場会社においては、内部統制報告制度への対応のためIT(情報技術)統制の有効性が求められます。
にもかかわらず、この分野を担当するシステム部門を少人数で担っている現状があります。
このような理由で、必ずしもIT統制が万全であるとは言えない会社も少なくありません。
上場を目指している会社においても、急成長を支えるIT部門の統制が整備されないまま日々の業務に追われているところが多いように見受けられます。
多くの会社のシステム部門では、経営環境の変化やITの進歩に伴い、多くの課題をクリアしていく必要があります。
新商品/製品・サービスを市場に提供し、また改良し続けることが事業会社の使命であり、
それを支えるシステム部門は、経営層からの厳しい要求に応えるべく、新しい情報と通信技術を活用した効率性の向上に追われているのです。
他方、一般的にシステム部門では自らの業務が財務諸表に影響を与えているという認識を持ちにくい状況があります。
監査法人の監査対象となる会社は、その多くが、販売管理システムや生産管理システム等を導入しており、
当該システムで入力されたデータから会計に関わる取引データを自動生成しています。
このため、販売管理システムや生産管理システム等の品質が悪かったり、システム障害等が発生すると財務諸表の虚偽表示に直結したりする可能性があります。
ITコンサルタントの役割は、ここで重要となります。
IT統制には、IT全般統制と呼ばれる(1)開発・変更、(2)運用、(3)セキュリティ、(4)外部委託のそれぞれに対してシステム部門の業務が適切に整備・運用されているかという論点があります。
また、IT業務処理統制と呼ばれる自動化統制(自動仕訳等)が適切に構築されているかという論点もあります。
内部統制の知識が乏しいシステム部門においては、これらの論点について、どのようにITに係る統制を構築したらよいか、
自社の問題点はなんなのかという疑問を持つことがあります。場合によっては、
システムをリプレースするにあたりシステム・ベンダーからプロジェクトを提案されているが、
どのように進めていったらよいか相談したいというような問い合わせを受けるケースも見られます。
このような状況は、システム構築の経験やITの知識・スキルを持った技術者は数多くいるものの、
経営と会計を理解している者は少なく、会社のニーズに応えられる人材が不足しているためでもあります。
公認会計士の資格と経験を有し、かつIT分野の知識を有している人材なら、活躍の場が数多くあります。
システム監査技術者 中小企業診断士 戸田勝美