2014年9月1日
会計事務所の顧客は、一般企業が中心です。
しかし、社団・財団・NPOなど、いわゆる公益法人へのサポート業務に積極的に取り組む会計事務所もあります。
現在、会計に関するコンサルティングスキルのある税理士が少ないという実情があることから、この分野にビジネスチャンスを見出しているのです。
2008年施行の新公益法人制度で、従来の社団・財団法人は、一般社団・財団法人と、法人税等の優遇が受けられる公益社団・財団に分けられることとなりました。
法人格の移行については、2013年12月に申請を終了しています。
そのため、昨年まで需要があった、旧制度から新制度への移行のための業務についてはひと段落。
今後注目すべきは、一般社団・財団として再スタートを切った法人が、公益認定を取得するための認定業務でしょう。
公益法人等のサポートにまず必要となるのが、2008年に改定された新公益法人会計基準についての知識です。
公益認定を受けるためには同基準を採用する必要があるため、会計の移行作業が必要となります。
公益法人会計基準では、公益目的事業会計と収益事業会計等の振り分け、事業費と管理費の区分、企業会計における純資産に当たる「正味財産」の概念、
寄付金や基金に関する会計など、企業会計と異なるポイントを中心に学んでいくとよいでしょう。
もう一つ注目しておきたいのがNPO法人です。こちらも「NPO法人会計基準」が整備されており、2012年施行の新NPO法で、
NPO法人が年に一度行う事業報告の形が、同基準に合わせて変更されています。
具体的には、従来会計書類として作成されていた「収支計算書」が、活動に関する事業実績を表示する「活動計算書」に改められています。
活動計算書は、従来の計算書よりも企業会計に近いと言われているため、税理士としては対応しやすいものと思われます。
そして、新NPO法では、法人に寄付を行った人が所得控除、税額控除を受けられる認定NPO制度も拡充されています。
ゆるやかな認定基準で、3年間のみ税優遇が受けられる「仮認定」制度も創設されました。認定申請業務に関しても拡大が期待できます。
公会計は、強みを持つ事務所が限定されている現状があることから、また一般法人から公益法人、あるいはNPO法人の仮認定から本認定等、
長期的視点に立ってステップアップの道が開けていることから、関与する税理士は長期での業務が期待できます。
税理士にとって、公会計基準が統一されることは有利です。会計基準が統一されれば、その基準を集中して学習しやすくなるからです。
各公会計基準を、税理士が豊富な経験を持つ企業会計との共通点、差異という視点から学ぶと、効率的に身に付けることができるでしょう。