2014年11月10日
税理士が扱う税目には、国税である法人税、所得税、相続税等がありますが、地方税の固定資産税も税理士試験の選択科目になっている専門分野です。
しかし、固定資産税の大きな特徴は、申告を必要としない賦課課税であること。そのため、税理士業務としては意識されないことが多いようです。
しかし最近、自治体が不動産の評価を適切に行っていなかったり、宅地特例などの制度が適用されていなかったりといったことを原因に、
本来よりも高い税額が通知される事例が頻繁にニュースになっています。
自治体が、管内の無数にある不動産の実情をすべて把握することは困難です。
固定資産税の評価は3年に一度行われますが、一度実地調査をしたものは、なかば自動的に税額が決定されるのが実情。
数十年間、本来よりも高い固定資産税を払い続けていた、といったケースも起こりがちになります。
最近、税理士事務所の中には、依頼者の固定資産税に関して改めて評価を行い、土地評価の誤りがある場合に、
自治体に指摘、税の減額、還付手続きまでを行うコンサルティング業務を請け負うところが出てきています。
このような業務に注目が集まる最近の事情としては、土地の値段が大きく動いていることによる固定資産評価への注目の高まり、
また省エネ、耐震、バリアフリーなど固定資産税に関する減税制度などが整備されていることが挙げられます。
このようなサービスから読み取れるのは、税理士が税額を計算するという発想を持ちにくい税目にも、
ビジネスの種があるということ。これは、転職を考える税理士にとっても有益な考え方です。
現在、固定資産税の見直し業務を行う事務所は多いわけではありません。固定資産税について、突っ込んだ業務を行った経験が一度でもあれば、
その際の実務について説明することで、採用者にも「気づき」が生まれ、高い興味を示すと思われます。
固定資産税は、資産家の財産、会社の償却資産等、個人・法人を問わずあらゆる顧客に関連する税目でもあります。
単に自治体から通知された税額を納めるという発想にプラスアルファの知識を加えるため、制度などをいま一度確認しておきたいものです。
単なる「租税公課」でしかなかった顧問先の固定資産税がどのように計算されているのか、ということに目を配ってみると、
税理士としてのステップアップにつながる、新たな発見があるのではないでしょうか。