2015年09月10日
8月18日~8月20日、平成27年度(第65回)税理士試験が行われました。受験された皆様は、自分の力を出し切ることができましたか?自己採点の結果に満足されている方、頭を抱えている方、様々な方がいらっしゃると思います。
今回は平成27年度の税理士試験の特徴と、試験合格者の転職市場の状況について考えてみたいと思います。
今年度の受験申込者数は4万7,145人で、平成26年度の4万9,876人から2,731人減少しました。前年度の申込者はその前の年度に比べて5,000人以上減少していますので、減少幅は小さくなったものの、やはり減少傾向は強いようです。科目合格者も数千人単位で減ることが予想されます。
税理士試験の内容について、とくに話題となっているのが、財務諸表論の第3問。
かなりひねった計算問題であったこと、記入すべき数値等の量も多かったことから、ミスをしてしまった、時間が足りなくなったといった声が聞かれます。
財務諸表論は、最初に受けることが多く、簿記論とともに「簿財合格」が、士業資格試験の一部としてだけではなく、能力を担保する資格として機能している感があります。
今年度の財務諸表論の難化が会計関連の人材市場に及ぼす影響は気になります。
毎年、8月の試験後には税理士事務所・法人による科目合格者の求人が増えます。
受験者、合格者が減少する中、事務所・法人側にとって、税理士登録者、5科目合格者、一部科目合格者の確保は大きな課題となります。
今年度の試験の、もう一つの特徴は開始時期の遅さ。例年、試験は8月上旬に行われていましたが、今年はお盆休みがちょうど終わるころでした。
そのため、採用活動も、夏季休業から一呼吸置いた9月に本格化すると予想されます。早めの応募は、転職への意識の高さを伝えるための最も簡単な方法です。9月上旬は求人情報に注目しておく必要があるでしょう。
最近の景気回復傾向から、雇用改善、賃金上昇、設備投資の増加等がみられ、税務・会計業務が増えています。人材不足も相まって、税理士事務所・法人の新規求人では給与の上昇もみられるところです。転職者にとってチャンスが大きい時期でしょう。
今年度の税理士試験の合格発表は12月18日。9~12月の転職活動では、面接等で試験結果について聞かれることが多くなります。この時期は、合否がわからず不安定な状態での活動となりますが、採用する側も当然それはわかっていることです。
自己採点の結果、予測される科目合格の状況に合わせたキャリアプランを、自信をもって話して良いと思います。会計人としての将来を感じさせる最善のアピールの仕方を考えてみてください。