2014年10月3日
8月に行われた税理士試験で、近年続いていた受験者の減少傾向が顕著となっています。 受験申込者数は、5科目のべ49,876人で、昨年度の55,332人から約1割5,000人超が減少しています。 実際の受験者数の発表は合格発表の時期に行われますが、約3,000人減少した昨年度よりも、減少幅が大きくなることが予想されるところです。 近年、合格率は大きな変化が見られないことから、合格者数も減少することはほぼ間違いないでしょう。
受験者の減少が続くと、税理士に占める試験合格者の割合にも変化が起こることが考えられます。
ご存知のとおり、税理士登録には公認会計士ルート、国税OB等の試験免除ルートがあります。
平成25年度の登録事務事績によると、全税理士登録者のうち、試験合格者は約46%。一方、公認会計士は約11%、OB税理士など「試験免除者」は、32.6%を占めています。
公認会計士に関するトピックとしては、2007、2008年に試験合格者が急増したことが記憶に新しいところ。
その後合格者は減少傾向にありますが、このインパクトは大きく、今後の税理士登録者の数にも影響が出てくることが考えられます。
OB税理士にはまた異なる状況があります。税務職員が税理士になるには23年の実務経験が必要。いま税理士登録資格を得ているのは、平成1~3年に入局、採用された職員ということになります。
そして、国税庁のレポート「『日本における税務行政』について」によると「平成元年に消費税が、また、平成3年に地価税が導入されたことに伴い定員増が認められ、
平成4年に(5万2,000人台から:著者注)5万6,000人台」になったとの記述があります。この時期の職員数の増加が、今後の税理士登録に影響してくる可能性は十分あります。
この状況で、新しい試験合格者が考えるべきことは、今後、5科目合格の資格者の価値が高まる可能性があるということです。
会計事務所の求人で、試験合格者であるか否か、また試験時の選択科目が重要視されているのはよく知られているところです。
事業会社は会計事務所と比べるとその傾向は弱いと言えますが、今後、とくに税務を中心とする業務の場合、選考基準として今よりも重視される動きが出てくるかもしれません。
試験合格者の方々は、スキル・キャリアの「棚卸」の際、試験合格者であることをよりポジティブな価値として見るべきでしょう。
ご自身の市場価値について客観的に見る視点は、転職時に重要となってくると思われます。