2014年3月19日
税理士合格者の減少が続いています。昨年の試験で5科目合格を達成したのは905人。
一昨年から200人程度減少しました。科目合格者も、10,068人から8,348名となり、減少傾向は顕著です。
合格率については目立った動きはないため、合格者の減少は受験者数減少が最も大きな原因。
受験者数は昨年度の48,123人から45,337人と、約3,000人減っています。(国税庁 平成25年度(第63回)税理士試験結果)
この合格者減少。就職や転職にどのような影響があるのでしょうか。
若手税理士の減少は、税理士業界全体で問題視されています。
しかし、新たに税理士になる人にとっては、自身の就職・転職における市場価値を高める側面もあり、必ずしも歓迎できないことではないでしょう。
また、アベノミクスで期待されている景気の拡大は税理士需要を作り出します。
経済状況によっては、若手税理士へさらなる追い風になるかもしれません。
そして、税理士の就職・転職市場では、税理士試験の5科目合格者の需要が高まるといった見方もあります。
「税理士への需要」という場合、顧問先となる企業の税務需要と、会計事務所による労働需要がありますが、この二つには微妙な違いがあります。
税理士には、5科目合格者以外にも、会計士資格者、大学院の科目免除者などがいます。
会社が税理士に税務会計業務を依頼しようとする際は、税理士になるまでの経緯を見て選択するという傾向はあまり見られません。
しかし、税理士を採用する会計事務所にとって、税理士に様々なタイプがあることは自明であり、判断材料として注視されています。
公認会計士の合格者も減少傾向にありますが、
会計士試験の制度変更による合格者急増が話題になったことは記憶に新しいところです。
新制度による合格者は、これから実務経験を積み、税理士として登録する人も多くなります。
公認会計士であれば、企業会計の知識が豊富にあるので、法人税務への心配はあまりないかもしれません。
しかし、高齢化や課税最低限の引き下げによる市場拡大も見込まれる相続税務では、
相続税法を選択している5科目合格者の需要が高まることが考えられるでしょう。
もちろん、雇用する側が重視するのは実務能力ですから、
今まで所属していた事務所でのキャリアが最も重要であることは間違いありません。
しかし、採用の判断材料が少ない場合は、税理士試験合格者であるか、ということのウェイトが増す場合もあります。
5科目合格者の方は、それ自体が付加価値となる可能性があるということを念頭に置いて 就職・転職活動を行っていくべきだといえます。また、自分の税理士登録までの経緯にネックがあると考えられる方は、 それを意識しつつ、相手の懸念を払拭する前職等のアピールしていくことが求められるのではないでしょうか。