2017年12月04日
平成30年度税制改正で恒久的施設(PE)の定義が昭和37年度以来の改正が予定されているようです。
「国税庁HP No.2882 恒久的施設(PE)(平成29年分以降)」によると、非居住者及び外国法人(以下「非居住者等」といいます)に対する課税では、「国内源泉所得」のみが課税対象とされますが、同じ「国内源泉所得」であっても、その支払を受ける非居住者等の「恒久的施設」の有無、その「国内源泉所得」が「恒久的施設」に帰せられる所得かによって、課税関係が異なってきます。
「恒久的施設」という用語は、一般的に、「PE」(Permanent Establishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。
日本国内に恒久的施設を有するかどうかを判定するに当たっては、形式的に行うのではなく機能的な側面を重視して判定することになります。例えば、事業活動の拠点となっているホテルの一室は、恒久的施設に該当しますが、単なる製品の貯蔵庫は恒久的施設に該当しないことになります。
(所法2八の四、5、161、164、所令1の2、所基通161-1、164-1、法法4、138、141、法令4の4、法基通20-1-1)
上記通り、現状では、資産を購入したり、保管したり、事業遂行のための補助的活動をしたりする用途のみに使われる場所はPEに含まれないとされているため、海外の通販業者が使用する配送ための倉庫の存在のみではPE認定することはできないことがわかります。すなわち、外国法人に対する課税は、PEを通じてその国で事業を行った場合のみ法人税の対象になりますが、現行のPEの定義では海外の通販業者は法人税の対象外になります。
OECDの多国間協定によると、従来は、外国企業が一定の場所を保有していても倉庫の利用等特定の活動をPEから除外していましたが、原則として、いかなる種類の活動でも準備的又は補助的である場合のみPEから除外すべきと記載されています。
今回のPEの定義の見直しもOECD BEPSプロジェクトの行動計画による最終報告書にならい改正される予定であり、この場合、海外の通販業者が日本に倉庫を有していて、準備的又は補助的である機能を超えている場合は、PE認定され日本で課税されることになります。
PEの定義の見直しにより、海外の通販業者の多くがPE認定され日本で課税される可能性が高くなりました。PE認定された場合、日本に帰属する所得をどのように把握し算定するかの難解な問題も抱えています。
また、海外の通販業者が日本に倉庫を保有していても準備的又は補助的な機能に限定し、PEの定義から外れるように尽力する可能性もあり、彼らが税率の高い日本から退去した場合は、日本でのサービスの質が低下する可能性があります。