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米国の監査報告書でCAMの導入を正式決定、日本でもCAM又はKAMを採用する議論が加速化

2017年11月13日

米国の監査報告書でCAMの導入を正式決定、日本でもCAM又はKAMを採用する議論が加速化米国の証券取引委員会(SEC)は、10月23日に公開会社会計監督委員会(PCAOB)から7月19日に提出された監査基準(PCAOBにより作成され採用された基準)を承認したと発表しました。

上記監査基準は、監査上の重要な事項(=Critical Audit Matters、略称CAM)の記載や監査人の在任期間を求めるものであり、米国でのCAM導入が最終承認され正式に決まりました。

なお英国では、既にIAASBの提案をもとに2012年10月1日以後に開始した事業年度から監査上の主要な事項(=Key Audit Matters、略称KAM)が導入されています。これらは定義、内容ともCAMとほとんど同じ内容になっています。


CAM又はKAMに記載する事項

CAM又はKAMとは、ISA701の公開草案によると、「監査人の職業的専門家としての判断において当年度の財務諸表監査で最も重要な事項」と定義されます。

監査上の主要な事項は、監査人が統治責任者とコミュニケーションをはかった事項から選択します。また、監査報告書の作成においても、当該事項についてコミュニケーションを行うこととされています。財務諸表に対する意見を形成した上でコミュニケーションを行うことが前提となっていますが、従来の監査意見の建て付け自体が変更されるわけではありません。

CAMに記載する事項

CAM又はKAMとして監査報告書に記載すべき事項は、監査人の職業的専門家としての判断において行うことになっており、その選択は監査人の判断によりなされます。

判断にあたり、下記のことがポイントとなります。

  1. ① 特別な検討を必要とするリスクが識別された領域、または監査人の重要な判断を伴う領域(主に監査上のリスクの高い項目として挙がっているのは、のれんの減損、税効果会計、収益認識、資産の減損、引当金、退職給付会計等)
  2. ② 監査において、十分かつ適切な監査証拠の入手を含めて困難に直面した領域
  3. ③ 内部統制の重要な不備が識別されたことによるものを含め、監査において計画したアプローチの重要な変更が必要になった状況を考慮する。また、関連する財務諸表における開示の参照をし、監査人が当該事項の監査において最も重要な事項の一つと考えた理由

「監査報告書の長文化(透明化)」に至る流れ

日本においては、現在、「監査の在り方に関する懇談会」提言(平成28年3月8日公表)において株主等に対する会計監査の内容等に関する情報提供を充実させる観点から検討を進めるべきとされました。

これを踏まえ、平成28年9月から、関係者(日本経済団体連合会、日本監査役協会、日本証券アナリスト協会、日本公認会計士協会、金融庁)による意見交換が行われ、平成29年6月6日に金融庁から「監査報告書の透明化」が公表され、日本公認会計士協会からも平成29年7月6日に「監査報告書の長文化(透明化)」が公表されています。

会計士の目

英国だけでなく米国でもCAMの導入が決定され、日本でも会計基準及び監査基準の国際化、東芝不正会計等相次ぐ大規模な不正会計から投資家への情報開示充実、監査報告書の透明化が求められています。このことから数年内に監査報告書でCAM又はKAMを導入するのは確定的になったと言ってもいいでしょう。

福留 聡(公認会計士・税理士)

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