2017年11月1日
東京証券取引所は10月12日、東芝株式の特設注意市場銘柄及び監理銘柄の指定を解除しました。
東芝は、2015年7月20日に不正会計に関する第三者委員会の調査報告書を受領し、同年9月8日に過去の決算訂正等の訂正開示を行ったことから、東京証券取引所より内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められました。同年9月15日に東芝株式は、特設注意市場銘柄に指定されました。
東京証券取引所は、上場会社が有価証券報告書等に虚偽記載(有価証券上場規程第2条第30号)を行った場合、上場会社の財務諸表等に添付される監査報告書等において、公認会計士等によって、「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨が記載された場合、かつ、当該上場会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認めるときは、当該上場会社が発行者である上場株券等を特設注意市場銘柄に指定することとしています。
特設注意市場銘柄へ指定されている上場株券等の発行者である上場会社は、当該指定から1年経過後速やかに、内部管理体制の状況等について記載した「内部管理体制確認書」を提出することが義務づけられます。
なお、特設注意市場銘柄に指定された場合において、特設注意市場銘柄指定後1年以内に上場会社の内部管理体制等について改善がなされなかったと東証が認める場合(改善の見込みがなくなったと東証が認める場合に限る)は、上場が廃止されることとなります。
東芝は、特設注意市場銘柄指定から1年後に提出した内部管理体制確認書を東京証券取引所に提出し審査を受けていましたが、改善に向けた取組みの進捗等についてなお確認が必要とされていました。指定から1年6か月後に内部管理体制確認書を再提出し、東京証券取引所から内部管理体制等について相応の改善がなされたと認められたため、東芝は今月の12日に特設注意市場銘柄及び監理銘柄の指定を解除する旨の通知を受けました。
証券取引所は、上場銘柄が上場廃止基準に該当するおそれがある場合、または、発行者からの上場廃止申請の審査期間中は、その銘柄を一定期間、監理銘柄に指定して売買を行わせます。東芝株式の特設注意市場銘柄の指定が解除されたことから上場廃止基準に該当するおそれがなくなったと判断され監理銘柄の指定からも解除されました。
原子力事業の損失引当金を本来すべき2016年3月に認識していれば、債務超過となりました。2017年3月も債務超過ですので、二期連続債務超過という上場廃止基準に該当していました。
監査意見としては「不適正意見」で上場廃止にもなり得ましたが、最終的には「限定付適正意見」になり、指定解除されました。上場廃止回避ありきの結論のような気がします。