2015年8月31日
証券市場には、東証1、2部の「本則市場」、マザーズやジャスダック等の新興市場があります。そして、地方のベンチャー企業を対象とした市場として話題になることが多いのが、地方証券取引所の新興市場。会計士は、地域の中堅企業のIPO(株式公開)支援にもつながる可能性もあり、上場要件等に注目しておきたいところです。
地方証券取引所の新興証券市場は、審査基準が緩和されていたり、地域や業種などに独自性があったり、それぞれ特徴があります。ここでは代表的な3つの市場について紹介します。
名古屋証券取引所が1999年に創設。成長が期待される企業に対して、資金調達や企業の知名度向上の機会を提供することにより、近い将来の本則市場へのステップアップを視野に入れた市場とされています。
名証によると、市場開設以来、累計35社の企業が新規上場、そのうち3割程の企業が1部本則市場などに市場変更。企業を全国から迎え入れていることも特徴で、成長が期待できる事業計画があれば、業種業態を問いません。
札幌証券取引所が2000年に創設。21世紀の北海道経済の発展をめざし、成長が期待される企業を対象とした市場です。本則市場へのステップアップを視野に入れた、「中小・中堅企業向けの育成市場」とされています。
対象となるのは成長が見込まれる中小企業、または、安定的な成長を続けている中小・中堅企業で、北海道と何らかのつながりを有している企業。
営業拠点がない場合、北海道との関連性を記載した書類の提出が求められています。
福岡証券取引所が2000年に創設。九州周辺に本店を有する企業あるいは九州周辺における事業実績・計画を有する企業が対象となっています。
上場基準が緩やかであることに特徴があるといわれており、上場時時価総額が3億円以上、成長可能事業の売上高が計上されていること、連結・単体純資産の額が正であることなどが条件となっています(参照:福証HP、平成27年2月13日現在)。
上場の際には、会計士等が手掛けるIPO業務が非常に重要となります。
新興市場は審査が簡便であるだけに、信頼性の担保が課題となることもあり、会計士が精度の高い業務を行うことへの期待は非常に大きいといえるでしょう。
地方の新興市場への上場に関する業務は、地方で働く会計士がエキスパートとして活躍できる可能性もあります。地の利を生かして地域密着のベンチャー支援を展開し、地方活性化、地方発のイノベーションの創出を後押しする会計士の登場に期待したいところです。