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第5章 決算書の読み方 第1節 単独の大きさで読む

1.決算書はいろんな読み方がある!

決算書の読み方には、いろいろな方法があります。単独の大きさで読む方法、イメージの湧くものとの比較で読む方法、同じ会社の当期と過去の決算書を比較して読む方法、同業他社と比較して読む方法などがあります。

2.単独の大きさで読む方法

日本一の売上高を誇る会社はトヨタ自動車です。2017年3月期の連結ベースでの売上高は、なんと約27兆円もあります。すごいですよね。27兆円といったら、想像もつかないくらいすごい数字ですよね!

それから、同じく2017年3月期の連結ベースで営業利益が約2兆円あります。これもすごいですよね。このように、27兆円や2兆円がすごい数字だということは誰でもわかると思います。

でも、実感が湧かないですよね。これが、単独で読む場合の欠点です。中小企業の決算書のように、数百万円、数千万円、あるいは1億円、10億円くらいまでの数字であれば、ある程度イメージは湧くかもしれません。

ですが、数百億円あたりを超えてくると、数字を比較する対象がないとイメージが湧かず、その数字の持つ意味がわからなくなってしまいます。そこで、大企業の決算書を読むときは、さまざまなものと比較することが大切になります。

3.日本国VSトヨタ自動車

2015年度で日本国の歳入(収入金額)がおおよそ100兆円で、そのうち40兆円ほどは国債発行による借金なので、60兆円弱くらいが税収です。税収を日本国の売上高と考えると、トヨタ自動車の売上高は日本国の半分程度の規模を誇っていると考えることができます。

4.トヨタ自動車の営業利益で買えるもの!

トヨタ自動車の営業利益は約2兆円でした。では、2兆円あれば何が買えるでしょうか?

よく比較の対象として取り上げられる東京ドーム(あくまでも土地の広さや体積などで比較されることが多いですが・・・)の総工費が約350億円です。ということは2兆円の営業利益は、東京ドーム57個分となります。つまり、2兆円の営業利益で東京ドームを57個作れることになります。

もう一つ、比較の対象として東京スカイツリーをあげてみましょう。東京スカイツリーの総工費が約650億円なので、2兆円あれば東京スカイツリーを30個作れる計算になります。

トヨタ自動車の営業利益があれば、これだけのものを作ることができるということです。

このように、決算書の数字を何かと比較したり、換算したりすると、イメージが浮かんでくるので、数字の持つ意味を感じることができます。

執筆者プロフィール

南 伸一
簿記の教室メイプル代表

1971年鹿児島県生まれ。
1995年公認会計士2次試験合格。大手監査法人に勤務後、1997年に簿記の教室メイプルを立ち上げる。大手町校(東京都千代田区)と草加校(埼玉県草加市)の2教室の他、通信講座も行っている。著書に「絵でみる簿記入門」(日本能率マネジメントセンター)、「超スピード合格日商簿記3級」(成美堂出版)、「ギモンから逆引き!決算書の読み方」(西東社)などがある。

現在は、教室の経営、講義、執筆の他に、大手TV局100%子会社の財務・経理の責任者業務、大手電力会社の審査担当部署の会計アドバイザー業務、監査法人での監査業務など、様々な実務にも携わっている。