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第1章 決算書の種類 第3節 それ以外の決算書

1.貸借対照表、損益計算書以外の決算書

決算書は、貸借対照表と損益計算書だけではありません。この他にも、キャッシュ・フロー計算書や株主資本等変動計算書といった決算書もあります。一般的にはキャッシュ・フロー計算書が有名ですが、株主資本等変動計算書のほうが作成しなければならない会社の範囲が広いので、実務上は株主資本等変動計算書のほうが、馴染みがあるかもしれません。

2.キャッシュ・フロー計算書の意義・構成

キャッシュ・フロー計算書は、1年間の会社のお金の流れを明らかにした表です。キャッシュ・フロー計算書を見ることによって、会社にどういった理由でお金が入ってきて、どういった理由でお金が出ていったのかを知ることができます。

キャッシュ・フロー計算書には、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローの3つの区分があります。営業活動によるキャッシュ・フローの区分には、商売上のお金の出入りが記載されています。

投資活動によるキャッシュ・フローの区分には、資金運用上のお金の出入りが記載されています。財務活動によるキャッシュ・フローには、資金調達上のお金の出入りが記載されています。キャッシュ・フロー計算書の具体例は、以下の通りです。

図1

3.株主資本等変動計算書

株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部の項目について、期首から期末における変動理由を記載している表です。株主資本等変動計算書を見ることによって、会社の1年間における純資産の部がどのように変化したかを知ることができます。株主資本等変動計算書の具体例は、以下の通りです。

図2

4.法律によって決算書の種類が異なる?

これまで4つの決算書について説明してきましたが、実は決算書の種類は法律によって異なっています。決算書に関して規定している法律には、会社法と金融商品取引法があります。会社法では決算書のことを計算書類といい、その種類として、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表の4つをあげています。

それに対して金融商品取引法では決算書のことを財務諸表といい、その種類として、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、附属明細表の5つをあげています。よってキャッシュ・フロー計算書は、金融商品取引法上は決算書(財務諸表)に含まれますが、会社法上は決算書(計算書類)に含まれないことになります。

執筆者プロフィール

南 伸一
簿記の教室メイプル代表

1971年鹿児島県生まれ。
1995年公認会計士2次試験合格。大手監査法人に勤務後、1997年に簿記の教室メイプルを立ち上げる。大手町校(東京都千代田区)と草加校(埼玉県草加市)の2教室の他、通信講座も行っている。著書に「絵でみる簿記入門」(日本能率マネジメントセンター)、「超スピード合格日商簿記3級」(成美堂出版)、「ギモンから逆引き!決算書の読み方」(西東社)などがある。

現在は、教室の経営、講義、執筆の他に、大手TV局100%子会社の財務・経理の責任者業務、大手電力会社の審査担当部署の会計アドバイザー業務、監査法人での監査業務など、様々な実務にも携わっている。