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第3章 決算書の提出 第2節 税務署

1.税務署への提出は、すべての会社が対象である!

金融庁への提出は、一部の限られた大企業だけでしたが、税務署への提出は、規模に関係なく、すべての会社が対象とされています。さらに、会社だけでなく、自営業を営む方も提出しなければなりません。ですから、「決算書を作成するのは税務署へ提出するためだ!」と考えている経営者も多いようです。

2.決算書の他にも提出しなければならない書類がある!

会社が税務署に決算書を提出するときは、決算書のみを提出するのではなく、その他に、法人税申告書も提出します。法人税申告書には、別表というものがあり全部で20種類くらい、さらにそれも細分化されているので、細かくあげると100をはるかに超える種類の別表があるとされています。

もちろん、すべての別表を用いるわけではありませんが、小さな会社でも10種類くらいは作成が必要になってきます。有名な別表として、別表一(一)、別表四、別表五(一)などがあり、これらはどの会社であっても必ず作成しなければならないものです。

さらに、別表以外にも付表や勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書、消費税の申告書も作成し、提出しなければなりません。ですから、税務署に決算書とともに提出しなければならない書類は多数あり、かつ、内容を理解していないと記入することができない専門性の高い書類であるといえます。

3.税理士の仕事は税務申告書を代理で作成し、税務署に提出すること!

大企業では税務に精通した人材がいるでしょうから、自前で作成することができますが、中小企業の場合、自前で作成するは困難という会社が少なくありません。そこで、会社の代わりに法人税申告書を作成してくれる専門家が必要になります。それが税理士です。

税理士の役割は、会社のもとめに応じて、会社の代わりに法人税申告書を作成し、税務署に提出することにあります。場合によっては、経理代行あるいは記帳代行といった、会社の経理の仕事を請け負って、決算書自体を税理士が作成することもあります。

4.公認会計士=大企業、税理士=中小企業のイメージ?

世の中ではよく、「公認会計士が大企業を相手にしていて、税理士は中小企業を相手にしているんでしょ?」といわれますが、そのイメージ自体は間違いではありません。ですが行っている仕事の内容は全く違っていて、公認会計士の仕事はあくまでも監査であるのに対して、税理士の仕事は税務の申告書作成や代理申告が仕事です。

いずれも難関とされる国家試験に合格した会計のプロフェッショナルであり、決算書に係る仕事をしている専門家ですが、違いを知っておくことも決算書にまつわる話なので役に立つと思います。

執筆者プロフィール

南 伸一
簿記の教室メイプル代表

1971年鹿児島県生まれ。
1995年公認会計士2次試験合格。大手監査法人に勤務後、1997年に簿記の教室メイプルを立ち上げる。大手町校(東京都千代田区)と草加校(埼玉県草加市)の2教室の他、通信講座も行っている。著書に「絵でみる簿記入門」(日本能率マネジメントセンター)、「超スピード合格日商簿記3級」(成美堂出版)、「ギモンから逆引き!決算書の読み方」(西東社)などがある。

現在は、教室の経営、講義、執筆の他に、大手TV局100%子会社の財務・経理の責任者業務、大手電力会社の審査担当部署の会計アドバイザー業務、監査法人での監査業務など、様々な実務にも携わっている。