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1/31 労働保険料の納付(延納の場合の第3期分)

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労働保険料について

期限を1月31日とした労働保険料の納付について解説していきます。これは延納の制度を用いた場合の第3期の納付期限にあたります。今回はこれに絡めて、労働保険の概要及びその仕組みと手続きなどについて、簡潔に説明していきたいと思います。

労働保険って何?

労働保険とは、労災保険と雇用保険を合わせたものをいいます。労災保険は、業務上の災害と通勤途中の災害による負傷・疾病などに対する補償を目的とします。一方で、雇用保険とは、失業した場合の給付などを行うことを主な目的とする保険です。

労働保険は原則として、労働者を一人でも雇用している事業主は必ず加入することが義務づけられている政府管掌の強制保険です。ただし労災保険は労働基準監督署が所轄し、保険料は事業主が全額負担します。一方、雇用保険は公共職業安定所が所轄し、保険料は事業主と労働者の両者が負担します。
以下では一元適用事業(労災保険と雇用保険の事務を一本化して行う事業をいい、農林漁業・建設業等以外のほぼ全ての業種が該当します)を前提とします。

労働保険の具体的な手続き

1労働保険の加入手続き

まず適用事業を開始したり、労働者を初めて採用して適用事業となったときには、管轄の労働基準監督署・公共職業安定所に一定の書類を提出する必要があります。
具体的には、労災保険については①労働保険関係成立届(保険関係成立の日から10日以内)及び②労働保険概算保険料申告書(保険関係成立の日から50日以内)を所轄の労働基準監督署に提出します。この提出にあたっては賃金台帳等一定の書類の添付が要求されますので、各基準監督署に確認が必要です。

一方、雇用保険については①雇用保険適用事業所設置届(保険関係成立の日から10日以内)及び②雇用保険被保険者資格取得届(資料1)を所轄の公共職業安定所に提出します。この提出にあたっても賃金台帳等一定の書類の添付が要求されますので、各公共職業安定所に確認が必要です。

資料1)雇用保険被保険者資格取得届

資料1

2労働保険資格取得の手続き

次に、従業員を採用した場合の労働保険の資格取得の手続きについてです。労災保険の対象は、賃金を受ける全ての労働者になります。資格取得にあたっては特に届出の必要はありません。一方、雇用保険は原則として適用事業に雇用される労働者(臨時的・内職的なものを除く)は対象になります。

また、パートタイマー等一時的に雇用される場合でも、一定の要件をみたす場合には対象になる場合があります。手続きとしては、「雇用保険被保険者資格取得届(資料1)」を採用月の翌月10日までに一定の書類を添付して、所轄する公共職業安定所に提出することになります。

3労働保険資格喪失の手続き

最後に従業員が退職(資格喪失)した場合の手続きです。労災保険については資格喪失についての届出は必要ありません。一方、雇用保険については①退職者が雇用保険被保険者離職票(以下「離職票」とします)を希望しない場合と②退職者が離職票を希望する場合で手続きが異なります。

①は退職者が次の就職先が決まっているような場合です。「雇用保険被保険者資格喪失届(資料2)」のみを提出します。②の場合は「雇用保険被保険者資格喪失届(資料2)」に加えて「雇用保険被保険者離職証明書」を提出します。①②どちらの場合でも賃金台帳等の一定の書類の添付が必要です。離職日の翌々日から10日以内に所轄の公共職業安定所へ提出しましょう。

資料2)雇用保険被保険者資格喪失届

資料2

労働保険の年度更新の手続き

在職している従業員に対する労働保険の手続きは、年に一回「年度更新」が行われます。継続事業の労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの一年間(年度)を単位として計算します。
毎年度のはじめにその年度に支払われる賃金総額の見込額をもとに、概算保険料の申告・納付をします。
年度が終了したら、確定した賃金総額をもとに保険料(確定保険料)を申告し、すでに納付した概算保険料との過不足を計算します。このため事業主は、前年の確定保険料と当年度の概算保険料を同時に申告・納付することとなります。

これらの一連の手続きを「年度更新」といいます。この申告書は現行では、原則として6月1日から7月10日までに申告し当該保険料を納付することになっています。なお概算保険料分については、一定の金額以上の場合または労働保険組合に労働保険事務を委託している場合、申告により年3回に分割して納付することができます。このときの納期限は原則として1回目は7月10日、2回目は10月31日、3回目は翌年1月31日となっています。

労働保険の各種手続きの流れを押さえておきましょう

労働保険の手続きは、その場面によって必要とされる書類が変わり、複雑で慣れるまでは大変かと思います。しかし会社の経理(または総務)では従業員の入社・退職及び年度更新の処理は避けてはとおれません。
このため、今回の内容程度の知識は身につけて、不明な点はその都度所轄の労働基準監督署や公共職業安定所に確認をして手続きを行うとよいでしょう。

【参考】
  • 「事業主の皆さまへ 労働保険の成立手続はおすみですか」厚生労働省等(パンフレット)