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1/31 固定資産税の償却資産申告書の提出

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償却資産税とは

固定資産税の課税対象は土地、家屋、償却資産です。このうち特に償却資産に対するものを「償却資産税」といいます。納税先は市町村ですが、東京23区は都税事務所に納めることになります。
なお償却資産とは、土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産で、所得の計算上「減価償却費」として費用にできるものをいい、事業で使う、構築物、機械、器具、備品等が該当します。

償却資産税の納付について

償却資産税を納付するのは、当年1月1日現在の所有者です。例えば所有者A氏が当年の7月31日にB氏に該当資産を売却した場合でもA氏が納税義務者となります。通常このような売却の時には固定資産税の精算がAB間で行われます。

また、この償却資産税の課税の基礎となる課税標準額は市町村が作成する「償却資産課税台帳」によります。このため税額の決定は課税主体である市町村が行い、一定の免税額を超えた場合には必ず課税されることになります。税率は原則1.4%です。そして納期限は税額によりますが、東京都の場合6、9、12月及び翌年2月の年4回です。

この償却資産税は、課税者である市町村が税額を計算し、「納税通知書(納付書)」を納税義務者に送付してきます。そのため経理の業務としては、基本的には償却資産内容の申告のみとなります。

償却資産の申告から課税までの概略

それでは、償却資産の申告から課税までを順に見ていきます。

  • 1月1日…所有している償却資産の賦課期日となります。基本的には決算時に作成する「固定資産台帳」が基本となります。
  • 1月31日…償却資産申告書の提出期限
    →提出すべき申告書は①償却資産申告書②種類別明細書(増加資産・全資産用)③種類別明細書(減少資産用)となります。

①償却資産申告書

資料1

②種類別明細書(増加資産・全資産用)

資料2

③種類別明細書(減少資産用)

資料3

①の申告書「前年中に減少したもの(ロ)」の明細が③で、「前年中に取得したもの(ハ)」の明細が②となります。なお、開業一年目等で初めて申告する場合には②の明細書に全ての償却資産を記載して提出することになります。

  • 1月31日以降…上記申告書に基づき、市町村で償却資産の価格等が決定され「償却資産課税台帳」に登録されます。
  • 「償却資産課税台帳」に登録後…市町村長が「償却資産課税台帳」に登録した旨を公示し、その日から納税義務者等、当該課税に関係する者が「償却資産課税台帳」を閲覧できるようになります。なお、この台帳は個人情報にあたり、閲覧する場合には身分証明書等で本人確認が行われます。
  • 6月頃…税額が算出され、納税通知書が交付(送付)されます。税額は「課税標準額×1.4%(標準税率)」です。なお、課税標準額が150万円未満の場合は免税となります。
  • 通常4回に分けて納めることができます。もちろん一括して納付しても構いません。なお市町村によって納期が異なる場合があります。参考までに東京23区では6、9、12月、翌年2月です。

申告時の注意点等

償却資産申告書は、決算時の固定資産台帳に基づいて作成しますので特に難解ではありません。しかし、初めて償却資産申告書を書く時に忘れやすいのは「1月1日現在」の償却資産で作成するということです。決算時の会社の「固定資産台帳」に、決算後取得した資産を加算し減少した資産を除くのを忘れている申告書が散見されます。

償却資産にも調査がありますが、よくこの記載時期のズレを指摘されます。決算後の資産増減の申告もれには十分注意してください。なおこの調査は、課税主体である市町村が行います。書面による調査がほとんどですが、まれに実地調査が行われることもあります。

忙しい時期の作業ですので効率的に行えるようにしておきましょう

償却資産申告書の提出自体は、前述のとおり難しくはありません。しかし1月の経理業務は支払調書や住民税の給与支払報告書の提出等大変多く、償却資産申告書の作成には時間をかけることができないと思います。
このため日頃から償却資産申告書の作成のために資料等を準備しておくなど、効率よく業務ができるようにしておきましょう。

【参考】
  • 令和6年度固定資産税(償却資産)申告の手引き(東京都)
  • ガイドブック都税2023(令和5年度版)