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5/31 個人道府県民税・市町村民税の特別徴収税額の通知

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住民税について

今回は、「1/31 住民税に関する業務」に引き続き住民税を取り上げます。「1/31 住民税に関する業務」では住民税の概要を説明しましたので、今回はサラリーマンの特別徴収に絞り、特に退職時にスポットをあてて、経理部の処理を見ていきたいと思います。
(なお、東京都の場合は「都民税」、東京23区内の場合は「特別区民税」と呼ばれますが、以下ではそれぞれ「道府県民税」及び「市町村民税」と読み替えて下さい)

住民税の特別徴収について

住民税の徴収には「特別徴収」と「普通徴収」の2つの方法があります。
サラリーマンの場合、毎月の給与から天引される「特別徴収」によって、個人に代わって事業所が各市区町村に納付をすることになります。

そして納付までの一連の流れは、

  • ①事業所が従業員の居住の市区町村へ「給与支払報告書」によって前年分の給料総額を報告(当該年分の翌年1月31日まで)
  • ②市区町村が住民税額を計算する
  • ③市区町村は、事業者から送られた「給与支払報告書」に基づき、6月から翌年5月までの12回に分けて特別徴収すべき月割税額を記載した「特別徴収税額通知書(納入書)」を、5月31日までに事業所に送付してくる
  • ④事業所が個人の給与からその税額を毎月徴収する
  • ⑤事業所が納入書により納付する

となります。

それでは次に、中途入社及び中途退職の場合の処理を見ていきましょう。

中途入社・中途退職時の処理

中途入社をした人が普通徴収で納付していた場合※には、採用した会社が「特別徴収切替届出(依頼)書」をその人の住所地の市区町村に提出します。この場合、重複納付防止のために、普通徴収分の納付書を預かって依頼書に添付します。
なお、資料は埼玉県川口市のものを使用していますが、市区町村によって様式が異なりますので、必ず当該市区町村のものを入手してください。

※前職ありで特別徴収をしていた場合であっても従前の職場の退職時に特別徴収から普通徴収に切り替わっている場合

資料1)特別徴収切替届出(依頼)書

資料1

次に退職の場合の処理です。社員が退職し給与の支払がなくなった場合には、退職の翌月から月割税額の徴収及び納付の義務はなくなり、原則として普通徴収の方法に切り替わります。
このときに会社の経理担当者は「給与支払報告 特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を、各市区町村に期限までに提出します。

給与支払報告 特別徴収に係る給与所得者異動届出書の提出期限
(注:以下の期限は、神奈川県川崎市を参考。市町村により若干、提出期限等の取扱いが異なる場合があります。詳細は各市町村にご確認下さい)

条件 期限
給与支払報告書提出後(給与支払報告書の提出期限は本年1月31日)から本年4月1日までに退職などで給与の支払を受けなくなった人がいる場合 4月15日まで
(なお4月2日~5月31日退職の場合は6月10日まで)
徴収義務者の指定を受け、税額通知書の送付(5月31日)があった後に退職があった場合 退職月の翌月10日まで

資料2)給与支払報告 特別徴収に係る給与所得者異動届出書

資料2

ところで、退職者の特別徴収額の残額はどうすればよいのでしょうか?
実は退職者の退職月によって、事業所の経理が行う住民税の徴収処理の方法が異なってきます。

まず退職時に全額一括徴収される場合は、①6月1日から12月31日の退職で、退職日に翌月以降の月割額を特別徴収の方法によって徴収してもらいたい旨退職者からの申し出があった場合(そうでない場合は普通徴収に切替)、②退職日が1月1日から4月30日の場合(原則一括徴収が義務付けられています)。
また退職者が次の転職先が決まっていて、新就職先での特別徴収の継続をすることもできます。この場合は必要事項を記載した「給与所得者異動届出書」を市区町村に提出することになります。

住民税の計算について

住民税の計算は、既述のとおり市区町村で行われますが、どのような計算になるかを見てみましょう。基本的には所得税の年末調整とほぼ同様の計算になります。

【住民税の計算】
①前年の収入総額から給与所得控除額を控除して所得金額を計算します。

②所得金額から扶養控除等の所得控除額を差し引いて課税所得額を計算します。

③課税所得額に税率を乗じてこれから税額控除等を差し引いて住民税額が計算されます。

住民税は道府県民税(4%)と市町村民税(6%)の2本立てですが、市町村が一括して10%を徴収します。また、住民税の課税ベースは「前年」の所得であることに気をつけてください。

住民税の基本的な知識はおさえておきましょう

今回は、住民税の特別徴収の取扱いについてお伝えしました。住民税は所得税とは異なり、前年の収入に基づいて課税されるものです。この点は実は重要です。たとえば、前年はサラリーマンで当年は起業された方、または前年サラリーマンで、理由があって当年収入がない方は、当年分の住民税額をあらかじめ用意しておく必要もあるかもしれません。

6月頃、役所の住民税課窓口で「収入がないのにどうして税金がかかるの?」と職員に質問されている方をよく見かけますが、住民税率は一律10%です。少ない負担ではありませんので、基本的な知識は理解しておきましょう。

【参考】
  • 「特別徴収のしおり」市区町村
  • ガイドブック都税2023(令和5年度版)