退職・入社時に気を付けるべき法律関連

入社時の「内定」の法的意味

就職・転職に際して「内定」がもらえるかどうかは非常に気になるところですが、 そもそも「内定」とは法律的にはどんな意味を持つのでしょうか?

新卒の場合、夏休み前頃にいったん「内々定」を出し、10月を過ぎてあらためて「内定」を出す、というスタイルが多いと思います。 転職の場合の内定は採用の1~数ヶ月前くらいに出されるのが一般的でしょう。 内定は単なる口約束ではなく、条件付きの労働契約であると考えられます。 そして内定が労働契約であるということは、企業の一方的な都合で内定を解除することはできないということを意味します。

内定の辞退について

「内定は労働契約である」という観点から、内定を受けた側にも社会的な責任が発生します。法的には内定を受託した後も内定の辞退は不可能ではありません。しかし不慮の事故や病気など客観的にあきらかにやむを得ない理由以外で内定を辞退されると、先方の企業に多大な迷惑がかかり金銭的損害も発生します。社会通念上の信義則を欠くような形での辞退は慎むべきですし、特に業務開始が迫ってからの辞退には法的責任を問われる可能性もあります。もちろん社会人としてのあなたの評価や信用にも傷がつくでしょう。

なお民法627条には、労働契約の解除には2週間の予告期間が必要と記されています。 仮にどうしてもやむをえない事情で辞退しなくてはならなくなった場合でも、遅くとも2週間前までには申し出が必要です。

内定を受託するかどうか判断するにあたって「ひょっとして直前に辞退しなくてはならなくなるかも…」というような不安材料がある場合は あらかじめ先方の企業と率直に話し合いを行っておくべきでしょう。

なお、内定を巡る労働契約は求職者にだけ義務を求めているわけではありません。企業側にはさらに厳しい法的制限があります。

内定をもらった求職者はその時点で他の求職活動を中止している可能性も高いわけですから、 もしも企業が一方的に内定の取り消しを行った場合は、法的に「解雇」に近い厳しい制限がかけられ、 労働契約法16条によって「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上認められない場合は、採用内定取り消しは無効になる」とされています。 ただし経歴や資格の詐称、重大な健康上の問題、内定通知後の犯罪行為などでは内定の取り消しが認められる場合があります。

採用に際して企業が明示しなくてはならない事柄

従業員の採用に関して、会社は次のような事柄を書面で採用予定者に明示する義務があります。 内定通知を受託するかどうかは次の項目をよく検討しましょう。

  • 雇用契約期間(雇用期間を設けない場合はその旨を記載)
  • 就業の場所、及び従事する業務内容
  • 始業・終業時刻と休憩時間、及びその所定労働時間を超える労働の有無
  • 所定休日、休暇
  • 毎月の賃金の決定・計算・支払方法、及び締切日と支払日
  • 退職に関する事項、及び解雇事由
  • パート労働者の場合は、昇給・賞与・退職金の有無

また仕事の内容や条件面で気になる点がある場合は、内定をすぐ受託するのではなく、数日間受託を保留してから、どうしても譲れない条件に関して会社に検討をお願いするという方法も考えてみましょう。

退職にまつわる法律

会社を辞めるにあたって、よく法的なトラブルが発生します。
原則として「辞めると言っている人間を辞めさせない」という権利はどんな会社にもありません。 しかし現実にはさまざまな難癖をつけて退職の邪魔をしてくる会社も中にはあるようです。

労働基準法によれば、退職日の最低でも2週間前までに届けを出せば成立しますが、期間の定めがある契約の場合は注意が必要です。

この期間を待たず突然出社しなくなるような辞め方をすると、会社側から損害賠償を請求される可能性もあります。 逆にこのルールを守っている限り、会社側から何らかの損害賠償請求がなされても法的にそれが認められる可能性はほとんどありません。
ただし、期間については会社に退職の申し出から退職までの期間について就業規則がある場合、そちらが優先される場合があります。 ただし労基法から大幅に逸脱するような就業規則は無効とされます。

また労働条件について契約と事実に大きな隔たりがある場合、雇用側はそれを理由に即座に労働条件を解約することができます。 (労働基準法15条2項)ただし、事実と違うことを知ってから現状を放置しておくと、それを「承認した」と判断されるケースがありますから、 この権利を行使したい場合はあらかじめハローワークなどへの相談をしておくべきでしょう。

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