労務のスペシャリストとして働ける会社へ転職
T.Iさん40代以上男性
転職前
- 勤務先印刷業
- 職 種労務
- 年 収500万円
転職後
- 勤務先美容業
- 職 種労務
- 年 収450万円
Iさんはこれまで労務分野で経験を重ねてきました。前職の会社ではプレイングマネージャーとして働いていましたが、社長の交代によって会社の人間関係に変化が起き、落ち着いて仕事に取り組めない状況になってしまいました。そこで働く環境を変えるために、転職を決意しました。
転職先に対する希望は、「培ってきた労務のスキルが生かせる会社」という一点のみ。この条件さえ満たせば、業界や年収にこだわらないとのことでした。
しかし、大企業を除き、多くの企業では労務業務は人事部の中に組み込まれており、社員は労務以外にもさまざまな人事業務に携わっています。労務のみのスペシャリストを求めた求人案件は数が限られているのが厳しい現実です。
そんな中、Iさんに紹介したのは、チェーン店展開を活発化させている美容関係の会社です。同社では、役員が人事労務業務の全てを担っていたのですが、業務拡大に伴って人事と労務の切り離しを計画。役員は人事のみを担当し、労務は人に任せることを考えていました。まさにIさんにぴったりの案件でした。
Iさんは以前、業務システムが確立されておらず、さまざまなトラブルが発生していた会社に転職したことがあります。そのときには数週間会社に寝泊まりしながら、システムの改善に取り組みトラブルを解決しました。経験やスキルだけでなく、メンタルや体力も申し分ない、“任せられる”人材でした。会社側もIさんに強い関心を持ってくれました。
ところが肝心のIさんが、難色を示しました。「自分はおしゃれな人間ではないので、美容業界は合わない」というのです。しかし私は、その理由だけで断ってしまうのはもったいないと感じました。同社はこれから組織を拡大しながら、さまざまな仕組みを構築していく時期にあります。それに関われることは、労務のスペシャリストを目指す上でも貴重な経験になるからです。
Iさんには「業界は関係なく、その会社の中で何ができるかが大切」とアドバイスしました。一方で、会社側には、事業の概要や今後の展望に加えて、入社後にIさんに求めていることやキャリアパスについて、説明いただく場を面接以外にも設けてほしいとお願いしました。その結果、会社側は2回の面談を設定し、Iさんに「労務のスペシャリストとして働いてほしい」と伝えました。最終的にはこれが決め手となり、Iさんは入社を決意しました。