K.I
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米国公認会計士(USCPA)・公認内部監査人(CIA)、You Tube:GALAちゃんねる運営。
大学卒業後、米国の印刷物製造業に勤務。日本に帰国後、Big4監査法人にて、金融機関に対する会計監査、自己資本比率規制監査等を行う。資格予備校ではUSCPA講座、CIA講座、IFRS講座を担当。東洋大学では、英語でInternational Accountingの講義を行う。会計・ファイナンス・監査に関する人材育成・教育支援の株式会社GALA代表取締役、人材採用コンサルティング会社・株式会社Legaseed非常勤監査役。
原点は英語へのあこがれ
もともと洋画・洋楽が好きで、スクリーンや音楽から流れてくる英語の響きに、ずっとあこがれを抱いていました。大学在学中には何度か短期留学も経験しましたが、それだけでは満たされない。「どうしても英語を使う仕事がしたい」と思っていた私が見つけたのが、とある1年間のプログラム。9か月間はアメリカの学校に通い、3か月は自分で見つけたアメリカのインターン先で働くという面白い内容でした。
インターン先は、オーナーであるジムが営む小さな印刷会社です。けたたましく機械が稼働し、インクの匂いが染みついた職場では、一日中電話が鳴り止みませんでした。慌しさの中で、「ここなら成長できるんじゃないか」と期待に胸を膨らませたのを覚えています。
当然、やりとりはすべて英語です。発音もお世辞にも上手とは言えず、従業員にからかわれることも少なくありませんでした。それでも、若さゆえの負けん気というのでしょうか。「会社にかかってきた電話は、全部自分が取ってやる」という気概だけは、誰にも負けていなかったと思います。
しかし3か月という短いインターン期間だけでは、他の参加者と何ら変わらない経験で終わってしまう。そう感じた私は、就労ビザに切り替えて、そのまま現地に残ることを決意しました。
任されたのは営業と経理という、まったく畑の違う二つの仕事。営業では、シアトルの日系企業を一つひとつ、がむしゃらに回り続けました。その結果、いつしか対日系企業の売上が、会社の売上の15%を占めるまでに。それを、自分一人で生み出すまでになっていました。
経理の仕事は会計システムへの請求書入力などでしたが、当時の私は簿記の知識など何も持っていません。仕事を終えた後、夜間学校に通ってシステムの使い方を学びました。
アメリカでは、仕事ができなければ容赦なくクビを切られる。「Today is your last day」とジムに言われないように、必死に働いた日々でした。
人生を変えるUSCPAとの出会い
就労ビザが切れるまでの2年間は、アメリカで働き続ける覚悟はあったものの、帰国後にどんな道を歩むのかは白紙のままでした。働きながら何度も自分自身に問いかけ、見えてきたのは「自分には、何かをやりきった経験が一度もない」ということ。受験からも就職活動からも逃げるようにアメリカへ来た自分の弱さを、改めて突きつけられた気がしたのです。
転機は、ビザ切り替えのために一時帰国していたある日、喫茶店で同じプログラムに参加していた友人と会話していたときのこと。そのときに紹介されたのが、USCPA(米国公認会計士)という資格でした。「仕事をしながらでもいいから、一緒に目指してみないか。この資格を取ると、人生が変わるらしいぞ」。何気ない一言でしたが、私はその言葉を、不思議なくらい本気で受け止めてしまいました。試験から逃げ続けてきた自分にとって、「何かをやりきる経験が欲しい」という思いとも重なったのです。
すぐに日本の予備校から教材を送ってもらい、アメリカでの仕事を終えた平日の夜、そして休日のすべてを勉強に費やす日々が始まりました。一緒に渡米した仲間たちは1年のプログラム終了後、帰国していたので、一人きりで机に向かう日々が続きました。誰にも頼れない、誰とも分かち合えない孤独な2年間。けれどその静かな時間は、私の心を確かに鍛え、徹底的に自分自身と向き合わせてくれた。何より濃密な時間だったと、今ならそう思えます。
結局、アメリカにいる間に合格できたのは4科目中1科目だけでした。ビザが切れて帰国した後はBig4監査法人に就職し、そこでも仕事と試験勉強を両立させ続け、ようやく1年後にUSCPAの資格を手にすることができました。
監査法人では金融部に配属され、会計監査や自己資本比率規制監査などに携わりました。外資系金融機関の日本法人を担当することが多く、英語を使う場面にも恵まれていました。ちょうど日本でのIFRS(国際会計基準)の任意適用が認められたばかりの時期でもあり、その採用が企業にどのような影響を及ぼすのか、日本企業に向けたリサーチや検証にも力を注ぎました。
講師としての道
監査法人の仕事は充実していました。けれど時間が経つにつれ、「自分は本当にここで活躍し続けられるだろうか」という迷いが、心の奥に少しずつ積もっていったのも事実です。監査法人を離れ、自分でビジネスを始めてみましたが、これは大きな失敗に終わりました。
ただ、その頃から兼務していた国際資格予備校での講師業の評判が、思いがけず高まっていきました。授業の依頼は次第に増え、法人研修も行うようになっていきました。そんな中、東洋大学から「英語で国際会計の授業をやってくれないか」という声がかかったのです。会計の講義を、学生に向けて英語で、しかも面白く語れる人間は、日本中を探しても自分しかいないだろう——そんな自負もあり、即座に応諾しました。私には「世界中を巡って英語で講義する」というかねてからの夢があったので、この依頼は何よりも嬉しいものでしたね。
授業をする上で大切にしているのは、「面白いこと」と「生徒の苦労を本気で体感すること」。私自身、学生時代は人の話などまるで聞かない人間でしたが、楽しい先生の話だけは食い入るように聞いていました。だから自分の授業は、徹底的に面白くしてやろうと心に決めています。誰かになり切ること、何かを演じることは、得意なんです。
予備校のオンライン授業は通常「チャプター1」から始まりますが、私はあえて「チャプター0」をつくります。授業内容とは何の関係もない、ただ自分が言いたいことだけを語る、小さな前置きです。
「『うさぎとかめ』の話、知っているよね。うさぎはかめのことばかり気にしていたけれど、かめはただゴールだけを見て歩いていた。誰もが、周りなんて気にせず、自分のゴールだけを見て頑張ればいい」「アメリカ時代、生活費が1300ドルしかなくて物置部屋に住んでいたとき、巨大な蜘蛛が出てきて殺虫剤をまいたら、むしろ自分が息苦しくなった」——他愛もない話ばかりですが、不思議なことに「先生の授業は熱いです」「先生の余談が好きで、授業を受けようと決めました」と言ってくれる生徒もいます。
生徒たちの苦労は、私にも痛いほどわかります。私自身、何度も試験に落ち、紆余曲折を経てやっと資格を手にしたからです。授業をする前には、必ず問題集を自分の手で解き直し、「この生徒たちは、どこで躓くのだろうか」という課題感を、できるだけ共有しながら教えるようにしています。
学び続けられる仕組みをつくりたいという夢
講師業を続けながら、友人が代表を務める人材採用コンサルティング会社のCFOにも就任しました。毎日のように小さな問題が起こり、そのたびに、これまで学んできたことが実務として目の前で活きていく。とても刺激的で、楽しい日々でした。
その一方で、講師業に加えて企業研修の依頼も増えていきました。けれど企業研修というものは、どれだけ熱意を込めても、期間が終わればそこで終わってしまう。研修を受けてくださった方々から、「あの研修の内容を、もう一度復習したい」「継続的に学び続ける仕組みはないのか」という声を、何度も聞くようになりました。その声に応えたい、自分自身で会計を学び続けられる仕組みを作りたい——そう強く思うようになり、ついにCFOを退任。今は自身で立ち上げた会社で、会計ファイナンス、監査領域の企業研修やEラーニング教材の制作に取り組んでいます。
USCPAのエージェントとして、伝えたいこと
USCPAの試験は実務に近いテーマの出題が多いことが特徴ですが、特に監査論で苦戦する声をよく耳にします。幸い私は、監査法人で働きながら受験していたので、そのイメージを描きやすかった。生徒に教えるときは、できるだけ自分の監査法人時代の体験談を交えながら、実務の手触りを想像してもらえるよう心がけています。
また、試験内容そのものではありませんが、働きながら受験する人が多いだけに、時間との戦い方も、決して小さくない課題です。私は本来夜型の人間でしたが、受験生だった頃は「朝の一時間だけは必ず勉強する」と自分に約束していました。朝はカフェで一時間、通勤電車ではテキストを開き、仕事の後には2時間頑張る。ただし金曜の夜だけは、自分を許して遊んでいい——そんな小さなルーティンを作ることをすすめています。
ジャスネットコミュニケーションズでは、USCPAや監査・会計キャリアに関するセミナーや研修を担当させていただいています。振り返れば、私の会計士としてのキャリアは、喫茶店で友人から聞いた「この資格を取れば人生が変わるらしい」というひと言から始まりました。Big4監査法人への就職、講師という新しい道、そしてCFOとしての経験。USCPAを取得していなければ、いずれも経験できなかったことだと思います。
USCPAへの道のりは決して楽なものではありませんが、思い出してもらいたいのは、何のために試験勉強を始めたのか、何のためにUSCPAの資格を得たいと思ったのかということです。USCPAになりたいという意思を持って勉強を続けていれば人生を変えることができると、自分の経験を持ってお伝えしたいと思います。
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