経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会事務局
電力・ガス市場の番人~電取委~民間の会計人材を積極的に登用して専門性を高度化。エネルギー業界の持続的な発展を支えていく
私たちの暮らしを支える電力や都市ガスは自由化が進められており、約1000社が小売事業に参入しています。これにより、利用者は料金やサービス内容によって自由に事業者を選択できるようになっているのです。経済産業省の「電力・ガス取引監視等委員会」は、門戸が広がったエネルギー市場で適正に取引が行われ、消費者が保護されているかを監視する「市場の番人」です。委員会は電力・ガス市場を監視し、時代に即した制度づくりも進めてきました。業務には高度な専門性が求められるため、法律や会計、内部統制のエキスパートが職員として参画し、日々の業務に取り組んでいます。
中立性を保ち、市場に目を光らせる
電力・ガス取引監視等委員会は、経済産業大臣直属の組織として運営されており、中立的な立場で活動を続けています。電力・ガスなどのエネルギー事業は電力会社やガス会社、送配電事業者やガス導管事業者などが参入しており、多くの関連団体もあります。消費者や政府を含めてステークホルダーが密接に関連して成り立っている業界です。委員会は市場に悪質な業者はいないか、自由な競争が行われているか、常に目を光らせています。事業者の不適切な行為を指摘し、指導する立場としてニュートラルな立場が求められるのです。
高度な専門性を持ち、エネルギーインフラを守る
電力・ガス市場の監視にあたっては、事業会社の営業活動が適正に行われているか、相場を操縦するなどの不正な市場取引がないかどうかといった、高度な精査と判断が求められます。このため、電力・ガス取引監視等委員会は法律や会計、内部統制に通暁した専門家が集まっています。電力やガスなどのエネルギー領域に精通するだけではなく、法律や会計、ガバナンスに関する知見も必須です。
広く大きなガバメントリーチの下、責任感を持って職務を遂行
エネルギー領域の政策に関して、電力・ガス取引監視等委員会は大きな権限を持っています。その取り組みや活動は電気事業法やガス事業法などに基づいて行われており、ガバメントリーチ(政府の権限や責任の範囲)が広範に渡るのです。委員会は報告徴収や立入検査などの権限を持っており、市場が健全に発展していくように適切な指導、改善勧告などを行うことがあります。また、新たな事業者が登録する際の審査や、営業・勧誘のガイドライン、取引についての指針も立案します。職員は広く大きなガバメントリーチを常に意識しており、責任感を持って職務を遂行します。
未来への取り組み
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今後の組織活動について
委員会は「すべての需要家に低廉・安定・多様なエネルギーを」という運営理念を掲げ、「国民生活をより豊かに」「エネルギー産業の競争力強化」をミッションとしています。消費者は安定して安全にエネルギーを享受でき、事業者にも幅広いビジネスチャンスが与えられる社会を目指しているのです。消費者を保護するためのルールづくりや広報活動に注力する一方で、制度設計専門会合で市場のルール、仕組みづくりにも力を入れていきます。
また、委員会は卸電力取引市場、ベースロード電源市場、需給調整市場、容量市場、そして再生可能エネルギーなどを扱う非化石価値取引市場などといった多くの電力市場を監視しており、膨大なデータを精査しながら健全な競争を支えています。エネルギーを巡る国際情勢はダイナミックに変動しており、政策もタイムリーに議論されています。委員会も新制度の設計、提言を積極的に行いながら、エネルギーシステムの持続的な発展を支えていきます。
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職員の多様性を生かすための取り組みについて
会計や法律に高度な専門性を持った人材が中立性と責任感を持って職務にあたることで、電力・ガス市場の監視機能が強化されていきます。委員会のメンバーは経産省のプロパー職員に加えて任期付職員によって構成されており、公認会計士、弁護士などとしてキャリアを積んだエキスパートを採用しています。委員会ではプロフェッショナルな人材が啓発し合いながら、即戦力として働くことができます。
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中途入省人材の活躍状況について
監査法人や事業会社から会計スキルを持った人材が入省しており、公認会計士資格を持った任期付職員は6名が委員会の職務に当たっています。任期は1~2年(応相談)となっており、民間で磨いた会計スキルや培ってきた知見を国家公務員として存分に生かせる環境があります。任期後は会計業界や事業会社に転身し、委員会の活動で積んだ知見、経験を生かすというキャリアプランも視野に入るでしょう。