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【年間200冊読む会計士が選ぶ!】公認会計士の新たなキャリア戦略に役立つオススメ本5選

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公認会計士 江黒 崇史

一昔前まで公認会計士のキャリアというと監査法人やコンサルティング会社、税理士法人等が主な活躍の場というイメージでした。しかしながら近年は様々な分野で活躍する公認会計士(以下、会計士と称させていただきます)の方が増えてきています。

例えば、組織内会計士として企業の経理部や内部統制業務へ挑戦する人、社外役員としてコーポレート・ガバナンスの強化に貢献する人、スタートアップCFO(最高財務責任者)として上場を目指す人など、会計士のキャリアも多様化しています。

とはいえ、新しいチャレンジをする上では不安なことも多いでしょう。

そこで今回は、主に監査法人の会計士の方が新しいチャレンジをするうえで業務に役に立つ5冊を職務別にご紹介したいと思います。

なお、ぜひこちらのコラムもご参照いただけますと幸いです。

目次

■ 企業の経理分野で働きたい方に

■ 企業の内部統制部門で働きたい人に

■ 会計不正を見抜く目を養う

■ スタートアップCFOとして働きたい人に

■ 会計について理解や教養を深めたい方に

■ おわりに

■ 企業の経理分野で働きたい方に

書影

「「経理」の本分」

著者名:武田 雄治
出版社:中央経済社

(1)どのような業務をする会計士に必要な本か

近年は企業の中で、組織内会計士として活躍する会計士が増えています。

また会計士側でも、監査人ではなくプレイヤーとして経理にチャレンジしたい人が増えている印象です。ただ監査法人の監査業務経験しかない方の場合、企業の経理部で働くことに不安を覚える方も少なくないでしょう。

そのような時に、経理部の仕組みからその日常業務・決算業務、経理部だからこそ実践できるサポート業務など、まさに「経理の本分」を学べる一冊が本書です。

(2)どのような問題を解決するのか

監査業務に従事していた会計士にとって、経理部はもっとも身近な会社の部署でしょう。

しかし経理部の業務についてイメージはあるものの、具体的に何をする部署なのか、何をすべき部署なのか戸惑う方も多いと思います。

本書は経理部の本分と存在意義の問いかけから始まり、あるべき経理部の仕組みや日常業務における留意点、その目指すべき姿等を教えてくれます。

経理部=仕訳記帳や決算書作成が業務と思っている方は、目から鱗が落ちること請け合いの一冊です。ぜひ本書で真の経理部として目指すべき姿を学んでください。

(3)本書がお勧めの理由

本書は筆者自らの上場企業経理部勤務の経験と、その後の豊富な決算早期化コンサルティング実績から、経理部の本分が学べる一冊です。

これから経理部員としてどのように業務に取り組むべきか、どのような価値を提供していくべきなのかがわかります。また、その仕事のすばらしさに感動を覚えることでしょう。

さらに本書第6章には「自己の価値を向上させる経理部員の心得26」が載っています。この心得を学ぶためだけでも、本書は一読の価値があると断言できます。

これから経理部員として働く皆さんはぜひ本書を手にして、筆者の「経理を変えれば会社は変わる」という理念をご自身で体現していただきたいと思います。

■ 企業の内部統制部門で働きたい人に

書影

「今から始める・見直す 内部統制の仕組みと実務がわかる本」

著者名:浅野 雅文
出版社:中央経済社

(1)どのような業務をする会計士に必要な本か

上場企業では内部統制において開示すべき重要な不備が生じると、内部統制報告書において開示をする必要があり、社内外に対して大きな影響が及びます。

そのような事態が生じないよう、内部統制の構築やその運用について内部統制監査の経験を有する会計士が求められています。もちろん上場準備企業においても上場前から内部統制の整備が求められますので、その多くが会計士を採用したいと思っています。

本書は組織内会計士として内部統制の構築や整備、運用に関わる人はもちろん、監査法人として内部統制監査に従事する会計士にとっても、内部統制を基礎から学ぶことができる大変有益な一冊です。

(2)どのような問題を解決するのか

組織内会計士として内部統制を構築する場合、どの程度まで内部統制を構築すべきか、効率的・効果的に構築・運用できないか悩まれることでしょう。

そのような悩みに対して、本書は一貫して効率的、効果的な内部統制の確立を勧めており、内部統制に携わる方にとって実戦的な指南書であり、皆様の悩みの解決をする一冊となるはずです。

また監査法人において内部統制監査を実施する方にとっても、クライアントに対してどのように指導・助言するのかなど、非常に役立つことは間違いありません。

(3)本書がお勧めの理由

本書は内部統制の実務経験が豊富な筆者による、「内部統制の実務」が丁寧にまとめられています。

内部統制と聞くと企業の負担増加やコストアップが思い浮かぶことが多い中、本書は内部統制の「効率的運営」を全編に意識し、実務上の整備・運用を助けてくれる心強い一冊です。

本書の活用により内部統制コストの最適化と、事業のスピードアップにつなげてください。

■ 会計不正を見抜く目を養う

書影

「数字の「違和感」で見抜く不正の兆候」

著者名:安福 健也
出版社:中央経済グループパブリッシング

(1)どのような業務をする会計士に必要な本か

先ほどは内部統制に関する本をご紹介しましたが、上場企業で内部統制報告制度が導入されて以降も、残念ながら企業の不正事例はなくなりません。

不正が明るみになった事例もあれば、会計監査や内部監査で未然に防げた事例もあり、そのため不正を防止する上では不正の兆候の早期発見が強く求められます。

本書はそのような不正の兆候について会計監査の現場から、その早期発見の手続きやプロセスを20のエピソードを通じて学べる一冊です。

下記の方々の他、多くの方にとって有益で必読の一冊といえます。

  • 監査法人で会計監査に従事する会計士
  • 組織内会計士として企業の内部統制に関与する方
  • 社外役員としてガバナンスを担う方
  • コンサルタントとして決算書分析や財務デューデリジェンスに従事する方

(2)どのような問題を解決するのか

会計不正はあってはならないことであり、その兆候を早期発見できるに越したことはありません。一度でも不正事例を身近で経験した方は、「不正を早期発見できる魔法の杖があれば…」と感じたことでしょう。本書はそのような不正の早期発見に対する「分析的手続き」について学ぶことができる一冊なのです。

分析的手続きは会計監査の監査手続きの一つですが、その手法は会社情報を様々な視点、切り口から分析するものであり、それは監査人だけでなく、内部監査室や監査役、社外取締役の方々にとっても会社の会計不正の兆候を発見することに役立ちます。

また、経営者の方々にも会計不正の典型的事例を学ぶことで、他山の石としていただければよいのではないでしょうか。

もちろん監査法人で監査業務に携わる会計士にとっては、日頃から気をつけなければならない監査要点や分析的手続き事例を学び、自身のスキルアップにつながる必読の一冊です。

(3)本書がお勧めの理由

本書が秀逸なのは会計不正について監査法人とクライアントの対話を中心とした20のエピソードから、臨場感を持って、リアルな会計不正の現場や監査手続きを学ぶことができる点です。

わたし自身、「こんな現場があったなぁ~」「この不正事例は聞いたことがあるぞ」と監査法人時代を思い出しながら、興味深く読ませていただきました。会計不正についてストーリー形式で学べる一冊として強くお勧めします。

■ スタートアップCFOとして働きたい人に

書影

「実践スタートアップ・ファイナンス 資本政策の感想戦」

著者名:山岡 佑
出版社:日経BP

(1)どのような業務をする会計士に必要な本か

若手会計士の中で人気の職種としてスタートアップ企業への参画、その中でもCFO(最高財務責任者)は憧れのポジションとして人気があります。

スタートアップCFOとして就任すると、経理の責任者はもちろん上場準備の責任者としても幅広い業務を担当します。その中でも資金調達や資本政策の立案は非常に責任が大きく、企業からの期待も大きい重要な業務となります。

本書はそのような資金調達、資本政策について、上場を果たした著名スタートアップ6社の資本政策事例を題材に、各種増資の内容はもちろん、サービスの状況や企業の成長ストーリーまで学ぶことができます。

今まさに資金調達業務や資本政策立案業務について関与している方はもちろん、これからスタートアップで資金調達業務に挑戦したい人やこれから起業を目指す方にとっても、会社経営とは切っても切り離せない資金調達について学べる貴重な一冊です。

さらに本書はタイトルに「感想戦」という言葉があるように、各社の資本政策について筆者の感想が述べられております。この感想も多くの示唆を得ることができるため、資金調達・資本政策に関与する方はぜひ読んでみてください。

(2)どのような問題を解決するのか

資本政策は一社一社異なります。また会社のサービス状況も変われば、資金調達の外部環境もすぐに変化します。

とにかく悩みが多い資金調達、資本政策業務において、実際に上場を果たした6社の資金調達、資本政策実例や各社の成長ストーリーは学ぶ点が多いと思います。皆様の問題や悩みの解決に役立つことでしょう。

(3)本書がお勧めの理由

資金調達の状況については「○○社が××億円調達」というニュースをみかけることはあっても、その詳細については公表されず不明であります。

その点、本書は「新規上場申請のための有価証券報告書」に掲載されている株式の状況から株価や調達額、時価総額などを詳細に学ぶことができます。

「資本政策は後戻りできない」と言われるようにその重要性は大変高いものです。本書は資金調達、資本政策について会社のサービス状況や成長ストーリーも学ぶことができる貴重な一冊であり、強くお勧めいたします。

■ 会計について理解や教養を深めたい方に

書影

「会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカー500年の物語」

著者名:田中靖浩
出版社:日本経済新聞出版

(1)どのような業務をする会計士に必要な本か

今回、最後におすすめする一冊は「会計の世界史」です。

そのタイトルどおり、まさに会計の世界史を綴った一冊ですが、これが非常に興味深く素晴らしい一冊なのです。

今後、皆さんがどのような職種にチャレンジするとしても、会計士として会計から離れるケースは少ないでしょう。その会計について理解や教養を深めるという点で、本書は職業会計人として皆さんの業務と人生に役立つ一冊といえるでしょう。

(2)どのような問題を解決するのか

本書は会計の歴史について「第一部 簿記と会社」「第二部 財務会計」「第三部 管理会計とファイナンス」の3部構成で学ぶことができます。

皆さんが普段、何気なく業務で携わっている簿記や財務会計、管理会計にファイナンスといった領域に数々の人間ドラマや著名人エピソードを交えながら、その深い世界史を学ぶことができます

例えば繁忙期で一息つきたい時や日常業務のちょっとした気分転換に手にしてください。普段仕事で関わる会計や監査、ファイナンスの世界が、こんなにも壮大で奥深いものか知ることで、これからの業務や学びについて意識が変わる一冊になると思います。

(3)本書がお勧めの理由

本書がお勧めの理由は何といってもその世界観です。

簿記の発明から始まり、決算書や株式会社の誕生、さらにはディスクロージャー制度や管理会計、セグメントにファイナンス、企業価値とまさに会計の世界史を学ぶことができます。

また各単元には「こんなドラマがあったのか」と驚きのエピソードが紹介されており、その世界観に読み手のページをめくる手は止まらなくなります。

教養としても業務への理解を深める意味でも、本書はぜひ会計士の方には読んで欲しい一冊となっています。

■ おわりに

今回は経理部や内部統制業務へチャレンジする会計士の方、社外役員やコンサルタントとして企業に関わる人、スタートアップのファイナンス業務へ挑戦する方などを想定して、5つの本をご紹介させていただきました。

もちろん、どの書籍も監査法人はもちろん、どの職場においても活躍する会計士の方にとっても学びがいのある本ばかりです。本コラムが皆さんのお仕事における知識の向上や今後のチャレンジへの一助となれば幸いです。

執筆者プロフィール

江黒 崇史(えぐろ たかふみ)
公認会計士 江黒公認会計事務所代表/株式会社E-FAS 代表取締役

1999年3月早稲田大学商学部卒業。
2001年公認会計士二次試験合格。
2001年10月から2004年まで監査法人トーマツにおいて製造業、小売業、IT企業を中心に多くの会計監査に従事。
2005年にITベンチャー企業の取締役CFOとして、資本政策、株式公開業務、決算業務、人事業務に従事するとともに、株式上場業務を担当。
2005年より株式会社アーケイディア・グループに入社。会計コンサル業務を中心にグループである税理士法人アーケイディア、清和監査法人の業務も担当。
2014年7月に江黒公認会計士事務所を設立し会計コンサルティング、IPOコンサルティング、M&Aアドバイザリー業務の遂行に努める。
2015年2月に株式会社E-FASを設立、代表取締役に就任しIPOコンサルティングやM&Aアドバイザリー業務に従事している。
またテラ株式会社、株式会社タウ、他複数社の社外役員を務める。

関連サイト

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