退職金制度の解説

退職金制度について

日本の終身雇用制度の象徴ともいえる退職金制度。実は「退職時に、勤務年数に応じてまとまったお金を支払う」という制度は日本以外にはあまり存在しません。

アメリカには「401K」という退職金制度があるにはありますが、これは退職時に会社から慰労金や報奨金のような形で支給されるのではなく、 月々の給料から一定額を天引きして積み立てられ、そこに一部を会社が助成する形でリタイア後の生活資金を積み上げていくスタイルです。

そして、日本の退職金制度にも法律で定められた規則というものはありません。各社の就業規則に従い、労使間の話し合いによって運用されます。 しかし経済成長が右肩上がりだった時代はともかく、現代のような低成長型の社会においては、退職金は企業にとって大きな負担であり、 全般的に減額または制度改正の方向で動いています。
しかし、現に多くの人が「退職金があることを前提とした将来設計」をしているにも関わらず いきなり大幅な制度改正は混乱を生じさせ、労使間の信頼関係も根底から揺らぎかねません。また公務員に設定されている退職手当との間に大きな乖離が生じます。
ここで退職金制度というものを少し見直してみたいと思います。

確定給付型年金と確定拠出型年金

「退職金の話をしているのに年金…?」と首をひねる方もいらっしゃるでしょうが、しばらく我慢してください。 日本では2012年に税制適格退職年金の税制優遇処置が廃止され、その代わりに確定拠出年金制度への税制優遇を開始しました。 これがいわゆる「日本版401K」です。

日本版401Kによると、それまでの退職金の引当金を確定拠出年金に移行し、社員ひとりひとりの口座を作り、そこに分配していきます。 以降はその口座に勤続年数や給与額を考慮した一定額を月々振り込んでいきます。それを各個人が自己責任で運用してゆき、 退職の時点で年金として受け取ることになります。(一括して引き出せば、それが退職金ということになります)
企業は月々の拠出金は出しますが運用は個人の責任なので、そのまま貯蓄しておいたのでは思ったほどの額に達しません。 各個人が予定運用利率以上の運用に成功すれば退職金は大きくなり、失敗すれば大幅ダウンする可能性もあります。 これに対して、従来の「勤続年数何年ならば、退職時に給料の何か月分…」というようにこの先世の中の金利がどう変化しても 給付額が確定しているタイプの退職金を「確定給付型年金」といいます。

日本版401K導入の推移

日本版401Kが誕生したのは2001年ですが、2012年現在では1万5,000社以上、440万人が加入しています。 これは全会社員の8人に1人が加入している計算となり、大企業~中小企業まで幅広い規模の企業で導入が進んでいます。(厚生労働省調べ)

また、日本版401Kには「転職先も401Kを導入していれば資産を引き継ぐ」というポータビリティ性があります。 従来型の確定給付型では転職によって退職金の起算根拠となる勤続年数が減ってしまうためトータルでもらえる退職金が減少するというデメリットがありましたが、401K導入企業間の転職であればそうしたデメリットがなく(もちろん拠出金の変動はあるにせよ)積み立てを続けることができるのです。

401K導入企業からの転職での注意点

もし401Kを導入している企業で働いていた人が転職する場合、新しい職場でも401Kを導入しているのであれば 転職時に資産の引き継ぎを申し出てください。この場合は従来の口座が新しい職場の401Kに引き継がれます。

ただし入社時にこうした申請をしないと401Kの口座が2つに分かれてしまい、古い方の口座を放置しておくと 半年後には国民年金基金連合会に移管されてしまいます。没収というわけではなく凍結されるのですが、 高額な事務手数料と面倒な凍結解除手続きが必要なので気をつけましょう。

新しい会社が401Kを導入していなかった際は、「個人型401K」の口座をつくって資産を国民年金基金連合会に移します。 自営業者になった場合や、企業年金のない会社に転職した場合は自分で掛け金を追加することもできますが、 そうでない場合はもうどこからも拠出金がないため、以後は従来の資産の運用だけで育ててゆく必要があります。

なお、401Kの加入期間が3年未満の場合や、残高が一定額以下になって投資運用の意味をなさない場合などは条件によって401Kを脱退し、一時金を受け取って清算する方法もあります。

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