「営業力のある公認会計士」を目指して大手監査法人から転職

白石睦氏は、2006年3月に大学の経済学部を卒業後、その年のうちに公認会計士試験に合格。大手監査法人に入社し、監査業務に就いた。

「クライアントには日本を代表する総合商社もあり、先進的なグループ経営など専門性の高い業務に携わることができました」と語る白石氏だが、大きな組織の一部としてプロジェクトに参加しているということへのフラストレーションは日増しに高まっていった。
大手監査法人の場合、クライアントは監査法人のブランドを信頼して業務を依頼する。自分なりの提案をしたいと思っても、一人の公認会計士としてできる業務には限りがあった。顧客との距離も遠く感じた。

「みずから仕掛けることのできる“営業力のある公認会計士”になりたいと思いました」

白石氏が、山田ビジネスコンサルティング株式会社に転職した理由はそこにあった。同社は、ジャスダックに上場する山田コンサルティンググループの一員で、企業の持続的成長や事業再生などに関する経営コンサルティングサービスを提供している。特に、中堅・中小企業向けの実績では国内有数の存在だ。

事業承継の問題をM&Aを通じて解決

「国内の中堅・中小企業では、事業承継が大きな問題になっています。創業者であるオーナー社長が高齢化しているにもかかわらず、子どもが跡を継がないないというケースが増えており、後継者難から事業を譲渡する目的でのM&Aのニーズが高まっています」

白石氏によれば、製造業や小売業のほか、医療法人や介護・福祉施設などでも、買い手を求める企業が増加しており、特に地方ではその勢いが加速しているという。「売りたいという企業と、買いたいという企業の橋渡しを行い、案件成立に導いていくのが私の仕事です。とは言っても、単純に価額面が折り合えばまとまるというものではありません。
中堅・中小企業のM&Aでは、利害関係者が家族や親族など身近な人に及ぶことが多く、相続などのデリケートな問題も絡んできます。また、創業者として、金銭では換えられない事業への“想い”もあります。
クライアントの目的を見据えながら『白石さんに任せてよかった』と言っていただけることを目指しています」。
その言葉どおり、最近では白石氏を名指しで依頼するリピートも増えており、手応えを感じているという。

もちろん、公認会計士としての会計、税務、法務の知識は大きな武器となっているが、各業界の研究も怠ってはいない。たとえば、入社間もない白石氏に持ち込まれた案件の一つにエステ関連企業の売却という案件があった。当時の白石氏にとってエステ業界は未知の分野。
そこで、白石氏はゼロから業界の勉強を始めるとともに、業界の売上上位企業から順に連絡を取っていったという。努力は実り、案件は無事成立。まさに、転職の動機であった“営業力のある公認会計士”を体現する事例と言えるだろう。

「一般的に、『業界のプレーヤーに精通しており、相場観のある公認会計士』になれる機会はそうありません。けれどもこの会社なら、自分の意欲で知識や経験の幅を広げることができます。さらに今後は自治体のM&Aや海外企業のM&Aにも積極的に取り組み、日本の活性化につながるような仕事も手掛けていきたいと考えています」

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